概略
坐骨神経痛は、腰からお尻、脚にかけて痛みが走る症状です。椎間板ヘルニアや脊柱菅狭窄症など様々な疾患が原因で引き起こされるので注意が必要です。坐骨神経痛の症状を和らげるためのストレッチとその注意点について解説していますので、坐骨神経痛の改善、予防にお役立てください。
目次
坐骨神経痛の主な症状と身体への影響
坐骨神経痛には、お尻、太もも、ふくらはぎ、足先に主に下記のような症状がみられます。
- 鋭い痛みや痺れ
- 長時間立っていられない
- 長時間座っていられない
- 体を屈むと痛くて、靴や靴下が履けない
また悪化すると、排尿・排便、歩行障害といった症状が出現する場合があります。
坐骨神経痛の主な原因と引き起こされる病気
坐骨神経痛の原因は、このように様々です。
- 姿勢不良
- 運動不足
- 体重増加
- 腰椎疾患
腰椎疾患に関して、下記で詳しく解説していますのでご覧ください。
腰椎椎間板ヘルニア
飛び出した椎間板が神経を圧迫することを椎間板ヘルニアと言います。神経を圧迫することで足の方に症状が出やすくなります。
腰部脊柱管狭窄症
脊柱管と呼ばれる神経の通り道が狭くなることを言います。狭くなることで神経が圧迫されるため坐骨神経痛が発生することがあります。
腰椎すべり症・分離すべり症
腰椎が椎間板の異常や椎間関節と呼ばれる関節が壊れてしまったり、骨が滑ることを腰椎すべり症と言います。骨が滑ることで後ろの神経を圧迫し坐骨神経痛の症状が出ることがあります。
変形性腰椎症
背骨の変形が起き、神経を圧迫すると坐骨神経痛へつながります。
梨状筋症候群
梨状筋(りじょうきん)と呼ばれるお尻の近くの筋肉が坐骨神経痛を刺激することによって起こる症状です。
仙腸関節炎
骨盤のつなぎ目にある仙腸関節がずれたり、歪んだりすることが原因で腰から足にかけて痛みの症状が出ることがあります。
坐骨神経痛の改善・予防に役立つストレッチ
坐骨神経痛に関係する筋肉のストレッチをご紹介します。回数や時間などは目安になりますので、無理の無い範囲で行ってください。
腰を反らすストレッチ
- 仰向けに寝る
- 腰が反らないように、万歳の姿勢でキープ
- 10秒経ったら腕を下ろし、繰り返す
1セット30秒、1日3回ずつ目安に行います。
股関節を伸ばすストレッチ
- 壁や台などの近くに立つ
- 片手で台に手を着いて、もう一歩の手で片足の甲を持つ
- 持っている足の踵をお尻に近づける
- その状態を30秒キープ(左右同様に)
1セット30秒、1日3回ずつ目安に行います。
膝を抱えるストレッチ
- 骨盤を立てて座り、片方の太もものウラに手を回す
- 腰を丸めながら、太ももの前を胸の方へ近づける
- その状態を30秒キープ(左右同様に)
1セット30秒、1日3回ずつ目安に行います
座って前屈ストレッチ
- 足を広げて、骨盤を立てて座る
- 足首を持つように、体を前に倒します(体が硬い場合は途中まででもOK)
- その状態を30秒キープ(左右同様に)
1セット30秒、1日3回ずつ目安に行います
梨状筋をほぐすストレッチ
- 足を組んで座る
- 組んでいる方の足を軽く手で押さえる(膝が痛くならない程度に押さえる)
- その状態を30秒キープ(左右同様に)
1セット30秒、1日3回ずつ目安に行います。
坐骨神経痛の改善・予防ストレッチの注意点
痛みが強いときはストレッチをしない
痛みが強く出ている場合はストレッチを控えてください。炎症が起こっている可能性があるからです。他の部分のストレッチであれば問題ないですが、炎症箇所をストレッチしすぎるとかえって痛みがひどくなる場合があります。例えばお尻の痛みがきつい場合は、ストレッチを控えるか軽めに行う、もしくは足の筋肉のストレッチを行うようにしてください。
医師の指示に従う
坐骨神経痛の症状があると言っても、お一人お一人症状は違います。担当の医師に、このようなストレッチをしても良いか確認をお取りください。炎症が起こっている場合など、ストレッチをすると却って痛みがひどくなる場合があります。自己判断でストレッチをせずに、医師の判断に従ってください。
平らな場所で行う
ストレッチを行う場所も重要です。柔らかすぎるベッドの上など、不安定な場所では行わないようにしてください。腰の位置が落ちてしまい、正しいフォームでストレッチが行えなくなります。間違ったフォームで行うストレッチは、効果が無いどころか悪化の可能性があります。平らな場所やストレッチマットなどの上で行ってください。
坐骨神経痛を予防する方法4選
- 正しい姿勢をとる
姿勢が悪くなると筋肉の負担が増え、坐骨神経痛が起きやすくなります。 - 冷えを防ぐ
冷えると血液循環が悪くなり、症状が出現しやすくなります。 - 肥満にならにようにする
お腹に脂肪がつくと腰が反る姿勢になり、神経が圧迫されやすくなります。 - 重いものを持ち上げない
重たいものを持つと、腰の筋肉に炎症が起きやすくなります。 - 筋肉をつける
筋肉が弱いと、体を正しく支えきれなくなり坐骨神経痛が起きやすくなります。
NLC野中腰痛クリニックによる坐骨神経痛の治療実績
当院における坐骨神経痛の治療実績をご紹介します。坐骨神経痛は腰痛疾患をお持ちの幅広い年齢層の患者様に見られる症状です。当院の坐骨神経痛の治療実績はこちらをご覧ください。
NLC野中腰痛クリニックの日帰り腰痛治療の実績は、6,358件(集計期間:2018年6月~2024年10月)
以前、他院にて脊柱管狭窄症に対して脊椎固定術をされた患者様です。術後、坐骨神経痛は改善傾向でしたが神経痛が再発し、歩けない状態となられたためディスクシール治療(Discseel® Procedure)を施術致しました。
坐骨神経痛に効くストレッチ解説まとめ
坐骨神経痛とは様々な要因で症状が出現します。大切なポイントは下記の2点になります。
- 自分の症状を見極め、医師と相談しながら症状に合わせたストレッチを行う
- 症状を悪化させないために、ストレッチを継続して行う
闇雲にストレッチを行うだけでは、症状は改善しません。無理にない範囲で良いので、症状に適したストレッチを少しずつ始めてみてください。
この記事の著者
医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行
2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任
坐骨神経痛
坐骨神経痛とは、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などを原因とし、腰から下部の臀部や脚に痛みやしびれを感じる症状です。