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椎間板ヘルニアと診断されたらゴルフを諦めるべきか? 序論

ゴルフという人生の楽しみを椎間板ヘルニアのせいで諦められるか

腰痛で趣味のゴルフがほとんどできない状態の患者様を毎日のように診察しています。「若い頃から月に1、2回程度ゴルフをしていたのに椎間板ヘルニアと診断されてからもう諦めた」という悲しい発言をよく耳にします。日本でのゴルフ競技人口は1000万人を超えているので、多くの方が「人生の楽しみを椎間板ヘルニアのために犠牲にするかどうか」という選択に悩まされているだろうと日々感じています。


椎間板ヘルニアなんかでゴルフを諦める必要はありません

椎間板ヘルニアと診断されたからといってゴルフを諦める必要はありません!


なぜゴルフを諦める必要がないのかを解説

椎間板ヘルニアの原因である腰痛や坐骨神経痛が出た場合、まず医師に診察してもらって現在の腰の具体的な状況を確認することが大事です。もし症状が軽微であるなら、しばらく安静にし、日常生活に戻れるように体操やストレッチをすることが一般的です。症状が治まったら体幹の筋肉を鍛えていくことにより、徐々にゴルフができるようになります。

ゴルフでの怪我のリスクを下げる方法

  1. 充分なウォーミングアップ
    スイングの練習やラウンドの前に、充分にウォーミングアップを行いましょう。早歩きやジャンピングジャック等で少なくとも 10 分間は身体を温めます。また、手、手首、前腕、肘、肩、背骨、骨盤を伸ばすストレッチも忘れずにしましょう。
  2. ゆっくりスタートすること
    スイングが役立つと信じて何時間も練習することがあるかもしれません。しかし、いきなりフルパワーでスタートをすると、身体が追いつかずスイングフォームも悪くなり、身体に害を及ぼすリスクが上がります。ゴルフクラブを数回スイングし、徐々に可動域とスイングスピードを上げていくことと適切なフォームに集中することが大切です。
  3. 筋肉の強化
    ロングドライブを打つのに筋肉を膨らませる必要はありません。しかし、筋肉が強ければ強いほど、クラブのスピードは速くなります。なにより、筋肉が強いほど怪我のリスクも低くなります。最良の結果を得るには、年間を通して筋力トレーニングを行いましょう。特に肩の周りの筋肉のバランスに重点を置いてください。
  4. 柔軟性に焦点を当てる
    定期的なストレッチは、可動域を改善し、より滑らかなゴルフスイングにつながります。お風呂上がりなどに少しずつ取り入れることを推奨します。
  5. オーバースイングに注意
    クラブを強く振りすぎたり、速すぎたりすると、腰に余計な負担がかかるります。リラックスして、適切なフォームでボールを軽くスイングしてください。最高のゴルファーは必ずしも球速が速いとは限りませんが、一貫したスイングテンポを持っています。

NLC野中腰痛クリニックによる腰椎椎間板ヘルニアの治療実績

当院における腰椎椎間板ヘルニアの治療実績をご紹介します。腰部脊柱管狭窄症と併発するケースも多く、また坐骨神経痛などの症状もみられます。当院の腰椎椎間板ヘルニアの治療実績はこちらをご覧ください。
NLC野中腰痛クリニックの日帰り腰痛治療の実績は、5,558件(集計期間:2018年6月~2024年2月)

椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症による間欠性跛行で難儀されている患者さまです。検査をしたところ、椎間板がほとんど潰れてしまっている状態でしたが、DST法(ディスクシール治療)を行うことで椎間板の修復と症状改善を図りました。


元々あった腰痛がゴルフに熱中されたあまりに悪化された患者さまです。検査をしたところ、椎間板が変形して骨から飛び出し、足の神経の傍で炎症を起こしているのが見られます。今回は変形と炎症を治療するためDST法(ディスクシール治療)を行いました。


【まとめ】椎間板ヘルニアと診断されたらゴルフを諦めるべきか?

患者様が訴える腰痛のほとんどが運動不足による筋力(特に腹筋、背筋)の衰えと体重の増加による原因が多いです。せっかく楽しんでいた趣味をやめてしまったら、肥満など体質が悪化するとともにストレスが蓄積し始める恐れがあります。椎間板ヘルニアなど腰痛の症状が再発しないように気を付けながらこれからもゴルフを続けていきましょう。

椎間板ヘルニアと診断されたらゴルフを諦めるべきか? 結論

参考文献参照元

①Case report: reduction of low back pain in a professional golfer: PAUL N. GRIMSHAW / ADRIAN M. BURDEN - 2000 - Medicine and science in sports and exercise
②Lower Back Pain in Golf: Jeremy J. / L. Tyler - 2010 - Volume 9 (Issue 1 - p 57-59)
③スポーツ選手における腰痛予防対策: 佐藤正裕 / 西良浩一 / 間瀬泰克 - 2012 - Vol.17 (p 56−62)
④Golf: a contact sport. Repetitive traumatic discopathy may be the driver of early lumbar degeneration in modern-era golfers: Corey T. Walker / Juan S. Uribe / Randall W. Porter - 2019 - Volume 31(Issue 6 - p 914–917)

参考文献のリンク

Case report: reduction of low back pain in a professional golfer [PDF]
Lower Back Pain in Golf
スポーツ選手における腰痛予防対策 [PDF]
Complications of Artificial Disc Replacement. (A Report of 27 Patients with the SB Charité Disc)

この記事の著者

医療法人蒼優会理事長・NLC野中腰痛クリニック院長:野中康行

医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任


腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアとは背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が外に飛び出し神経を圧迫する疾患です。坐骨神経痛、ぎっくり腰などの症状を引き起こします。