概略

椎間板ヘルニアは、椎間板の中にある髄核が外に飛び出し神経を圧迫することで発生します。自然に治ることもありますが、治癒までには通常2~3ヵ月かかります。軽症の場合は薬やリハビリなどの保存療法で改善することが多いです。しかし、症状が3ヵ月以上続く場合や重度の痛みがある場合は手術が必要になることがあります。再発のリスクもあるため、専門医の診断を受けて適切な治療を選ぶことが重要です。


目次

腰椎椎間板ヘルニアは自然治癒するもの?

椎間板ヘルニアは自然に治ることがあります。椎間板は二層構造になっており中心には髄核と呼ばれる水分があり、その周りを囲む線維輪があります。線維輪に傷がつくと椎間板が不安定になり、中から水分が出ようとします。すると神経を圧迫する椎間板ヘルニアになるのですが、時間の経過とともに飛び出た椎間板が体内に吸収されて、身体の外へ排出されることもあります。およそ2~3ヵ月程で症状がなくなることがほとんどです。

腰椎椎間板ヘルニアで症状が出ない場合

MRI画像上はヘルニアが確認できたとしても、症状が出ていない場合があります。これまでは神経を圧迫すると痛みや痺れが出るとされていましたが、最近の研究では炎症によって痛みや痺れの症状が出ることが分かってきています。そのため、神経に当たっても炎症がなければ症状が出ないことがあります。症状がない場合には、運動をして筋力低下を防ぐ治療をしつつ様子をみましょう。


自然治癒しにくい腰椎椎間板ヘルニアとは

症状が3ヵ月以上続く場合や、何度もぎっくり腰を繰り返したり痛みや痺れが慢性化している場合などが考えられます。飛び出したヘルニアが神経を圧迫し、炎症を引き起こすために痛みや痺れが発生し、自然には治りにくいと考えられます。


自然治癒した腰椎椎間板ヘルニアは再発する可能性もある?

椎間板ヘルニアが自然に治ったとしても再発する可能性があります。椎間板内にある髄核が再び漏れ出た場合に炎症が起こると再発することがあるためです。患者様によっては治ったり、再発したりを何度も繰り返している方もいらっしゃいますのでその場合は定期的に診断を受けることを推奨します。大きく変化がなく、お薬の効果がある場合は保存的治療で改善するのを待つのも1つです。逆にヘルニアが大きく飛び出していたり、椎間板が変形して骨と骨の間が狭くなったり、症状が以前に比べて強い場合には別の治療方法を検討しましょう。


腰椎椎間板ヘルニアの治し方は?

椎間板ヘルニアは状態によって治療方法が異なります。ぎっくり腰になり、しばらくすると治る軽度のヘルニアに関しては湿布を貼ったり、腰に負担のかからない姿勢や運動をします。悶絶するほどの非常に強い痛みがある場合は、早急に手術をして、入院が必要な場合もあります。

保存療法での治し方

腰痛の症状が出始めた方や比較的症状が軽い方には、保存療法としてお薬やリハビリでの治療を検討します。お薬やリハビリで効果が出る場合も多く、自然にヘルニアが治癒する可能性も高いため、経過をみながら治療を進めていく場合が多いです。

手術での治し方

保存療法で効果が出ない方や、疼痛が強すぎて日常生活に支障をきたす場合には手術を検討します。痛みや痺れが強くなるとお薬やリハビリでは効果がなく、また日常生活が困難で歩行することができないといった場合にも手術をすることが多いです。ただし、治療するにもリスクが伴うため、整形外科の医師と十分に相談をして上で手術を受けることをお勧めします。


NLC野中腰痛クリニックによる腰椎椎間板ヘルニアの治療実績

当院における腰椎椎間板ヘルニアの治療実績をご紹介します。腰部脊柱管狭窄症と併発するケースも多く、また坐骨神経痛などの症状もみられます。当院の腰椎椎間板ヘルニアの治療実績はこちらをご覧ください。
NLC野中腰痛クリニックの日帰り腰痛治療の実績は、6,358件(集計期間:2018年6月~2024年10月)

令和元年に当クリニックで脊柱管狭窄症に対してディスクシール治療(Discseel® Procedure)を行い、症状がほぼ消失された患者さまです。しかし、趣味であるゴルフを再開されると軽度の坐骨神経痛が出現する状態になられたため、再度ディスクシール治療(Discseel® Procedure)を行う事による症状の改善を図りました。治療後は約2時間ベッドでお休みいただき、ご帰宅していただきました。


まとめ

椎間板ヘルニアは、自然治癒の可能性もありますが、通常は2〜3ヶ月かかります。軽症の場合、保存療法(薬やリハビリ)で改善が期待できるケースが多いですが、症状が3ヶ月以上続く場合や重度の痛みがある場合は手術が必要になることがあります。椎間板ヘルニアは再発のリスクも高いため、専門医の診断を受け、適切な治療を選ぶことが重要です。予防のためには、日常的な姿勢の改善や適度な運動が推奨されます。特に中高年の方は、腰への負担を軽減するために、健康的な生活習慣を心掛けることが大切です。また、症状が現れた場合は早めに医師の診察を受けることで、重症化を防ぐことができます。日常生活での注意点や治療法について詳しく知りたい場合は、信頼できる情報源を参考にし、最新の治療法についても積極的に情報を収集することが重要です。

この記事の著者

医療法人蒼優会理事長・NLC野中腰痛クリニック院長:野中康行

医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任


腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアとは背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が外に飛び出し神経を圧迫する疾患です。坐骨神経痛、ぎっくり腰などの症状を引き起こします。