腰部脊柱管狭窄症の手術には、保険適応と保険適応外の2種類があります。保険適応の場合、手術費用が安く済みますが検査や医療機器に制限があります。保険適応外の場合、手術費用は高くなりますが患者様に合わせた治療法を選択できます。また、手術方法によって入院期間は大きく異なります。


目次

腰部脊柱管狭窄症の手術費用とは?保険適応・保険適応外の手術方法について

保険診療と自費診療の表

脊柱管狭窄症の手術費用は保険適応になるものと適応外があります。
保険適応とは保険負担額に応じて費用負担額が異なりますが、保険適応外の場合は全額自己負担となります。
このブログ内では保険適応になる手術方法として従来からある外科的手術を対象とし、保険適応外については当院の椎間板治療を対象としています。
※外科的手術においても独自の開発・輸入をしている手術方法に関しては保険適応外になることがあります。

各手術方法の特徴・手術費用について

手術方法入院・切開手術費用
MEL(内視鏡下腰椎椎弓切除術)入院:4~7日間、切開:16mm~18mm保険適応(3割負担):25万円~30万円
ME-PLIF/TLIF(内視鏡下腰椎椎体間固定術)入院:8~10日間、切開:10mm~20mm保険適応(3割負担):60万円~85万円
DST法(ディスクシール治療)入院:なし(日帰り)、切開:なし保険適応外:1箇所(1,320,000円)、2箇所(1,430,000円)、3箇所(1,540,000円)、4箇所(1,650,000円)

※あくまでも目安となるため外科的手術の正確な費用は各医療機関にてご確認ください。


保険適応の外科的手術の特徴とは?メリット・デメリットとは

1割~3割の負担割合に応じて経済的な負担が少ないということが保険適応の最大の特徴です。
但しMRIやレントゲン等を同日に撮影することが出来ず手術を受けるまでの期間が長くなることや手術の時に使用可能な医療機器や医療材料に制限があります。

保険適応外の椎間板治療の特徴とは?メリット・デメリットとは

保険適応外の場合は医療材料や医療機器に制限がないためより患者様に合わせた治療法を選択いただけるのが最大の特徴です。
また診察から手術までの期間も短く、現在は日帰りでの手術を行う医療機関もあります。
但し全額自己負担となってしまうため患者者様のご費用負担が大きくなってしまいます。

費用負担

保険適応保険適応外
1割~3割(75歳以上は1割、70歳~74歳までは2割)10割(全額自己負担)

術前検査

保険適応保険適応外
複数回の来院が必要MRI等の検査は当日中

手術時の使用器具

保険適応保険適応外
日本国内で認可された医療材料による手術が義務づけられている独自の開発・輸入による医療材料による手術が可能

手術後の傷口

保険適応保険適応外
15mm~150mm(手術方法によって異なる)注射跡(0.8mm)程度

入院期間

保険適応保険適応外
約2週間~1ヵ月程度(リハビリ含む)入院なし

社会復帰

保険適応保険適応外
2週間~1カ月程日常生活が制限されることがある手術翌日から日常生活が可能。但しスポーツ等は1ヵ月後からを推奨

手術・入院からリハビリまでの流れ

保険適応の外科的手術の場合は手術後に入院とリハビリを行う必要があります。
医師の判断のもと、安静期間が決まり、リハビリ開始・退院後のリハビリの案内があります。一方、保険適応外の椎間板治療の場合は入院はなしで、原則治療後の通院もないため翌日から日常生活が可能です。しかし、元々筋力が弱っている場合にはリハビリを推奨する場合もあります。

手術後、数時間は安静に医師の確認後に歩行も可能

保険適応の場合 - 外科的手術

脊柱管狭窄症の外科的手術の場合は手術後に腰椎コルセットを装着し、医師の許可があるまでは安静にします。早ければ翌日から歩行も可能です。

コルセットの画像

保険適応の場合 - 椎間板治療

当院での脊柱管狭窄症の椎間板治療の場合は外科的手術と同様に腰椎ベルトの着用をお願いしています。しかし全く動けないというわけではなく治療直後も歩行は可能です。1時間~2時間程安静にし、ご帰宅が可能です。ご帰宅後3日間はベルトの着用をお願いしていますが、翌日から日常生活が可能です。

早ければ翌日からリハビリ開始で退院後も積極的に継続したリハビリを推奨

早ければ翌日からリハビリが可能です。特に外科的手術の場合は入院中に活動量が低下し筋力低下や柔軟性低下が懸念されるため早めにリハビリを始めます。

保険適応の場合 - 外科的手術

リハビリ開始期間については医師の判断によって異なりますが、外科的手術の場合は歩行器を使った歩行から始めるリハビリを行います。筋力を鍛える運動を取り入れながら筋力の回復と腰痛予防を目的に行います。他院後も定期的なリハビリを行うことを推奨されることも多く、無理のない範囲で歩行や腰痛体操をされることで腰痛予防に繋がります。

歩行器の画像

保険適応の場合 - 椎間板治療

脊柱管狭窄症と人によって症状が異なり、身体の状態に応じて運動方法も異なってきます。当院では手術時に自宅でできる運動方法をリハビリスタッフが指導しています。


NLC野中腰痛クリニックによる脊柱菅狭窄症の治療実績

腰部脊柱管狭窄症の治療実績をご紹介します。60代~80代など比較的高齢の患者さまが多く、治療中のご様子までご覧いただけます。全ての治療実績は、腰部脊柱管狭窄症の治療実績ページからご覧いただけます。

2018年に当クリニックで脊柱管狭窄症に対してDST法(ディスクシール治療)を行い、元々あった坐骨神経痛が改善された患者さまです。しかし、治療後もしびれが残存しているのが気になられたため、PODT法(経皮的椎間板オゾン治療)を施術し、しびれの改善を図りました。療時間は20分程で終了し、治療後はしびれが3割程度改善を認めましたが、最大効果が出現するには1ヵ月は必要となります。


脊柱管狭窄症の手術の入院期間・費用について考える上で大事なことまとめ

脊柱管狭窄症の手術方法の選択肢は様々で、手術方法によって入院期間や手術費用が大きく異なります。手術を検討される前に医師によく相談した上で手術方法を決定しましょう。
また手術後の過ごし方も腰痛の再発を左右しますので、術後は安静にするだけでなくできる限り歩行や運動を行うようにしてみてください。

この記事の著者

医療法人蒼優会理事長・NLC野中腰痛クリニック院長:野中康行

医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任


腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症とは背骨にある神経の通り道「脊柱管」が狭くなる疾患です。腰痛、足の神経障害や歩行困難などの症状を引き起こします。