概略

腰痛と坐骨神経痛の原因には、遺伝的要因と環境的要因のいずれか、または両方が原因となる可能性があります。ただし、定期的な運動をすることで腰痛と坐骨神経痛を予防することができます。遺伝的要因には「骨格」「筋力」「靭帯の柔軟性」などがあり、環境的要因には「肥満」「喫煙」「運動不足」などがあります。


目次

はじめに

10代前半の若年者で、腰痛や坐骨神経痛を訴える方もいれば、反対に80代の高齢者でまったく腰痛などと無縁の方もおられます。先日患者様より、『家族皆が同じ様に、若い頃から腰痛や坐骨神経痛をもっているのですが遺伝は関係あるのでしょうか?』とご質問を頂きましたので、最新の論文結果をご紹介しながら皆様にお伝えしたいと思います。


結論

椎間板変性症や椎間板ヘルニアには家族性素因が大きい事は各種論文からも共通認識となっております。つまり関係があります。※1-3
また面白い事に腰痛に関しては、環境因子(運動等)によって悪化するのではなく、むしろ適度な運動は椎間板変性症の進行を遅らせ腰痛の発症予防につながると報告されています。※4-6

腰痛や坐骨神経痛は、遺伝が関与していますが、ただし遺伝がすべてではありません。また適度な運動は腰痛を悪化させるのではなく、むしろ腰痛予防につながることが示唆されています。みなさま、腰痛や坐骨神経痛、脊椎疾患の家系がおありでも、適度な運動を心がけて、予防に努めていただければと思います。また当院では、腰痛および坐骨神経痛等の神経障害性疼痛に対して、5種類の日帰り治療で患者様に満足していただけるよう診療を行っております。お悩みの患者様がおられましたら、お気軽にお電話やメールでご相談ください。


NLC野中腰痛クリニックによる坐骨神経痛の治療実績

当院における坐骨神経痛の治療実績をご紹介します。坐骨神経痛は腰痛疾患をお持ちの幅広い年齢層の患者様に見られる症状です。当院の坐骨神経痛の治療実績はこちらをご覧ください。
NLC野中腰痛クリニックの日帰り腰痛治療の実績は、5,638件(集計期間:2018年6月~2024年3月)

令和元年に当クリニックで脊柱管狭窄症に対してDST法(ディスクシール治療)を行い、症状がほぼ消失された患者さまです。しかし、趣味であるゴルフを再開されると軽度の坐骨神経痛が出現する状態になられたため、再度DST(ディスクシール治療)を行う事による症状の改善を図りました。治療後は約2時間ベッドでお休みいただき、ご帰宅していただきました。


参考文献参照元

*1:Heikkila JL,koskenvuo M,Heliovaara M,et al:Genetic and environmental factors in sciatica.Evidence from a nationwide panel of 9365 adult twin pairs.Ann Med 21:393-398,1989.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2605032/
*2 Varlotta GP,Brown MD,Kelsey JL,et al : Familial Predisposition for herniation of a lumbar disc in patients who are less than twenty-one years old.J Bone Joint Surg Am73:124-128 1991.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1824705/
*3 Matui H. Terahata N,Tsuji H,et al : Familial predisposition and clustering for juvenile lumbar disc herniation.Spine 17:1323-1328,1992.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1462208/
*4 Adams MA,Dolan P: Spine biomechanics.J Biomech 38:1972-1983,2005.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15936025/
*5 Adams MA, Freeman BJ,Morrison HP,et al : Mechanical initiation of intervertebral disc degeneration.Spine 25:1625-1636,2000.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10870137/
*6 Videman T,Levalahti E, Battie MC:The effects of anthropometrics,Lifting strength,and physical activities in disc degeneration .Spine 32:1406-1413,2007.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17545908/

この記事の著者

医療法人蒼優会理事長・NLC野中腰痛クリニック院長:野中康行

医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任


坐骨神経痛

坐骨神経痛

坐骨神経痛とは、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などを原因とし、腰から下部の臀部や脚に痛みやしびれを感じる症状です。