患者様の情報
70代 女性
疾患・症状
状態
2024年3月に脊柱管狭窄症に対してディスクシール治療を行った方です。治療後は坐骨神経痛が消失し、多くのご友人を当院にご紹介いただくほど満足されていたのですが、今年の4月ごろに坐骨神経痛が再燃するようになりました。
VAS Score(疼痛スケール)
2024年3月 | 2025年5月 | |
---|---|---|
腰の痛み | 7点 | 0点 |
下肢の痛み | 9点 杖歩行 | 5点 |
しびれ | 7点 | 0点 |
臀部の痛み | 9点 | 0点 |
(患者様に痛みを10段階で評価してもらい、0点は痛みがない状態を意味します)
MRI検査結果

治療前後のMRI写真です。向かって右側の写真が治療前(2024年3月)、左側の写真が本日の写真です(2025年5月)。椎間板容量は維持されており、新たな病変は認めません。MRI画像では安定している状態です。
診察結果
お話を伺うと、3月にかなり頑張って庭掃除をされた後から神経痛が出現するようになったとのことでした。また、臀部を押すと神経痛が悪化するため、仙腸関節障害が疑われました。腰よりも骨盤関節の障害が原因である可能性が高いと判断し、内服薬とリハビリをしていただくようにお願いしました。今後2ヵ月ほどで症状改善が期待できると判断しています。坐骨神経痛が再発した原因は、「働きすぎ」であり、何事もほどほどが肝要であることをご説明しました。
院長の本音
私は今でこそ腰痛専門で診療していますが、内科認定医、麻酔認定医、循環器専門医でもあります。そのお陰で多くの患者様を診察することができたのですが、気付いたことがあります。それは、人間は基本的に意思の弱い生き物であるということです。
病気のためにやるべきこと(例えば厳格な食事療法やリハビリ、日常生活の制限)を患者様にお勧めすることは簡単ですが、実際には続けられないことほとんどです。理由は、医師の推奨することがほとんど「楽しくないから」です。したがって、私の外来では、運動療法をしないといけない患者様に「できる範囲でいいので、食後は30分ほど、ご家族と一緒に談笑しながら散歩してください。熟年離婚予防のためにも……」など工夫をしてご説明しています。
仕事も家事も医療も趣味も、そして人生も「ほどほどに」「続けられる程度で」「楽しく」が大切だと思ってます。

今回の治療法
ディスクシール治療(Discseel® Procedure)
治療期間
日帰り
治療費用
1,320,000円~1,650,000円(税込)
リスク・副作用
治療後2週間程度は、一時的に症状が悪化する可能性があります。ごく稀に椎間板の容量が増えたことによって、周りの筋肉や関節、靭帯などの広がりにより、筋肉痛や腰の違和感が出現することもあります。
関連するの疾患と症状

腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症とは、背骨にある神経の通り道「脊柱管」が狭くなる疾患です。腰痛や足の神経障害、歩行困難などの症状を引き起こします。

椎間板変性症

椎間板変性症とは、背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が変形する疾患です。椎間板の変形により、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症などの様々な病気につながる恐れがあります。

坐骨神経痛

坐骨神経痛とは、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などを原因とし、腰から下部の臀部や脚部に痛みや痺れを感じる症状です。
この記事の著者

大阪本院 院長野中 康行
2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任