治療症例/ 院長ブログ

12年前にレーザー治療した患者様の再治療(50代男性)

患者様の情報

50代 男性

疾患・症状

患者様の状態

患者様が30代の時に、私が青藍病院(奈良県)でPLDD(椎間板レーザー減圧治療)をしていた方です。PLDDで症状が改善していたのですが、昨年10月にスカッシュをされてから坐骨神経痛が出現するようになり、改善がないため青藍病院に問い合わせた後に、当院を受診されています。


検査

MRI

腰のMRI検査です。特に第5腰椎と第1仙骨の間にある椎間板が潰れてしまっています。12年前であれば椎間板は潰れていなかったはずですが、病変が進行したのだと考えます。


施術内容

ディスクシール治療

椎間板が潰れている状態では椎間板を損傷させる様なPLDDやディスコゲル治療(セルゲル法やPIDT法)は当然禁忌と判断し、フィブリン製剤で組織を修復するディスクシール治療が適応になるだろうとご説明しました。

実際に椎間板造影検査を行うと、複数箇所で椎間板の損傷が確認されましたので、予定通りディスクシール治療を行っています。治療後、腰部の鈍痛を自覚されていましたが、坐骨神経痛は半減しておりました。


院長の一言

本日は外来で患者様より「セルゲル法とディスクシールの違いはなんなんですか?」とご質問を頂きました。非常に多い質問なのですが、セルゲル法はディスコゲルと呼ばれる物質を椎間板に投与する方法であり、別名PIDT法やPIDD法を呼ばれている治療法になります。

セルゲル法とディスクシール治療

セルゲル法

ディスコゲルの主成分は95%がエチルアルコールであり、目的は椎間板内の組織を壊死させて脱水を行う事で椎間板内の圧力を下げる治療です。目的はPLDD(レーザー治療)と同じで、椎間板の容量が減少しているような場合には適応がありません。

ディスクシール治療

ディスクシール治療は主成分がフィブリン製剤(生体タンパク質)であり、損傷した組織の密着を図る事で椎間板の損傷を修復することを目的としています。特に椎間板容量が減少した場合に最大効果を発揮する治療です。

以上より、セルゲル法(壊死)とディスクシール治療(修復)は全く逆の作用であり、適応も一般的に椎間板の損傷が少ない若年者にはセルゲル法、椎間板損傷が進行している中高年以上の方がディスクシール治療になることがほとんどです。セルゲル法は修復治療だと説明をうけたり、信じている方がいますが誤りです。ディスコゲルを製造しているメーカーが公開している取扱説明書を見ていただければ確認できます。

さて、本日は阪神タイガースのオープン戦が行われます。はやく帰って、観戦したいと思っています。がんばれタイガース。

ヘルメット子ちゃん

今回の治療法

ディスクシール治療(Discseel® Procedure)

治療期間

日帰り

治療費用

1,320,000円~1,650,000円(税込)

リスク・副作用

治療後2週間程度は、一時的に症状が悪化する可能性があります。ごく稀に椎間板の容量が増えたことによって、周りの筋肉や関節、靭帯などの広がりにより、筋肉痛や腰の違和感が出現することもあります。


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この記事の著者

医療法人蒼優会 理事長・野中腰痛クリニック 大阪本院 院長:野中康行

大阪本院 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任


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