患者様の情報
60代 男性
疾患・症状
患者様の状態
5年ほど間より腰痛を自覚されていました。趣味のゴルフでは前半はプレーができますが、後半になると腰痛のためにプレーが困難となる程度の腰痛です。ストレッチや整体また湿布治療などを行われるも改善がなく、病院でも手術は適応が無いと言われ、ゴルフのお仲間に当院を紹介され受診されています。患者様のご希望は「ゴルフができるように」との事でした。
診察と検査結果
腰のMRI検査では、第2腰椎から第5腰椎の間にある3箇所の椎間板に変形を認めており、椎間板変性症と診断致します。また足の神経も障害を受けつつあり、脊柱管狭窄症の合併を認めます。
施術内容
DRT法(経皮的椎間板再生治療)
患者様の症状が腰痛だけですので、リスクの高い外科的手術は適応がありません。また整体やリハビリでは治療としては不十分の状態です。そこで、椎間板に対してDRT治療を行う事で腰痛の改善を図る事に致しました。
局所麻酔薬で治療を開始しましたが、治療中に痛みがある為に、治療途中で鎮静剤を使用し患者様には寝ていただきました。
骨の変形はほとんどない状態ですので、治療用の管を挿入する事に難渋する事はありませんでした。管の挿入には4分を要しました。
椎間板を検査したところ、損傷部分が3箇所に見られ、DRT治療を行っております。動画の最後に検査した椎間板(L5/S)には損傷がなく、圧力も正常でしたので治療は行わずに済みました。治療時間は21分でした。
院長の一言
既存の治療では改善が期待できない腰痛に対しては、海外で行われているような日帰り治療が良い適応になります。日本では国民皆保険という非常に優れた制度があり平等に安価で治療をうけられますが、大企業が治療技術の開発に莫大な投資が行わないという欠点があります。
現状、アメリカなどでは、医療費が高い為に原則として個人で民間保険に加入する必要がありますが、高額な医療費は治療技術の開発に転嫁されます。日本では標準的な治療を低価格で平等に提供することを目的とした医療制度を目指していますが、海外では最高の治療を適正な価格で公平に提供する事を目的とした医療制度になっていると言えます。
医療は万民に平等であるべきだと大学で教育を受けましたが、最高の医療に限って言えば、公平性はあるものの平等性はないと思います。
治療法
DRT法(経皮的椎間板再生治療)
治療期間
日帰り
治療費用
1,430,000円~1,760,000円(税込)
リスク・副作用
治療後は内出血・腫れ・発赤・疼痛・かゆみ・変色・および圧痛が発生することがあります。ごく稀に椎間板の容量が増えたことによって周りの筋肉・関節や靭帯などの広がりにより筋肉痛や腰の違和感が出現することもあります。
禁忌事項
血液疾患に罹患中の方(血小板減少症、高度の欠乏性貧血など)、感染に伴う全身症状(発熱など)、癌・悪性腫瘍と診断され術後治療中の方は治療できません。
この記事の著者
医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行
2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任
腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症とは背骨にある神経の通り道「脊柱管」が狭くなる疾患です。腰痛、足の神経障害や歩行困難などの症状を引き起こします。
椎間板変性症
椎間板変性症とは背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が変形する疾患です。椎間板の変形により、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症やすべり症など様々な病気につながる恐れがあります。