患者様の情報

70代 男性

疾患・症状

患者様の状態

患者様は約10年前に私が青藍病院で勤務していた際、腰痛に対してSCS(脊髄神経刺激装置)を体内に植え込んだ方です。1年ほど前よりSCSの効果が劣るようになり、ゴルフが楽しめなくなってきたために、今年8月にSCSを体内から除去し、本日DRT治療を行いました。


SCS(脊髄神経刺激装置)の抜去

SCS(脊髄神経刺激装置)は脊髄神経の後方を直接電気刺激することで、痛覚神経の活動を抑制し痛みを制御する治療法です。体内(多くは臀部)に装置を植え込む必要があります。

脊髄神経刺激装置を抜去する前の動画です。

脊髄神経刺激装置を抜去した後の動画です。


施術内容

DRT法(経皮的椎間板再生治療)

8月にSCS(脊髄神経刺激装置)を抜去してから皮膚の傷が治癒したことを確認して、DRT治療を行いました。

MRI

治療直前のMRI画像ですが、椎間板が飛び出した様な変形をしており、椎間板ヘルニアと診断致します。椎間板の容量は低下しておりますので、PLDD(レーザー治療)やディスコゲル治療(セルゲル法やPIDT法)を行った場合は症状が悪化してしまいますので、DRT治療を選択しております。

治療風景

鎮静剤を使用しております。治療用の管はやわらかくて追従性の高いNST針を使用しました。神経への損傷は皆無です。

椎間板を検査しているところです。損傷部分がしっかりと黒く映っています。この後DRT治療を行っています。治療時間は21分でした。ゴルフの再開までには1ヵ月ほど要する見込みです。


院長の一言

10年ほど前にはディスクシール治療やDRT治療は、本邦で行われていませんでしたので腰痛疾患に対してSCS(脊髄神経刺激装置)などの治療を数多く行っていました。治療件数は西日本で1、2番だと報告を受けたことを記憶しております。ただし、SCSはインプラント治療になりますので、感染のリスクや身体的負担もあるため慎重に検討する必要があると思いますし、インプラント治療は今となっては2世代くらい前の治療法になっています。

さて、昨日は甲子園付近で大雨が降ってしまいタイガース戦が中止になってしまいました。そこで読売ジャイアンツ(1位)対広島カープ(2位)戦を見ていたのですが、読売ジャイアンツがこれまた強いんですね。阪神タイガースの逆転優勝は茨の道かもしれません。それでも、頑張れタイガース。


治療法

DRT法(経皮的椎間板再生治療)

治療期間

日帰り

治療費用

1,430,000円~1,760,000円(税込)

リスク・副作用

治療後は内出血・腫れ・発赤・疼痛・かゆみ・変色・および圧痛が発生することがあります。ごく稀に椎間板の容量が増えたことによって周りの筋肉・関節や靭帯などの広がりにより筋肉痛や腰の違和感が出現することもあります。

禁忌事項

血液疾患に罹患中の方(血小板減少症、高度の欠乏性貧血など)、感染に伴う全身症状(発熱など)、癌・悪性腫瘍と診断され術後治療中の方は治療できません。


この記事の著者

医療法人蒼優会理事長・NLC野中腰痛クリニック院長:野中康行

医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任


腰椎椎間板ヘルニア

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腰椎椎間板ヘルニアとは背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が外に飛び出し神経を圧迫する疾患です。坐骨神経痛、ぎっくり腰などの症状を引き起こします。