患者様の情報
70代 男性
疾患・症状
- 腰痛
患者様の状態
本日の外来で、ギックリ腰で来院された患者様がおられました。検査を行いましたが、驚くほど異常のない腰をお持ちでした。15年以上にわたり腰痛治療に携わっていますが、これほどの腰にお目にかかることがなかったので、比較しながらご報告したいと思います。
正常から重症までの腰の比較
正常な腰
本日来院された75歳男性です。自宅の階段を踏み外した際に、腰部を捻転し腰痛が出現し受診されています。受診時に腰痛はほぼ消失しておりました。腰のクッションである椎間板は非常に形が整っており、正常といえます。治療方法は、リハビリと鎮痛薬です。
中等症
以前にPLDD(経皮的レーザー椎間板減圧術)をした73歳男性です。腰痛を自覚されて5年以上経過されていました。幾分か椎間板が変形し、ヘルニアと呼ばれる状態になっており、中等度の障害と言えます。治療方法は、PLDD、DiscoGel(セルゲル法やPIDT法)です。
重症
DST治療をした76歳男性です。約10年前から腰痛を自覚されており、数年前から坐骨神経痛も出現されている方です。椎間板の容量は減少しており、脊柱管狭窄症の合併を認めます。重度の障害と言えます。治療方法は、ディスクシール治療、DRT法です。
素人目に見ても、同じ年齢であっても、腰の状態に大きな差があるのが理解していただけると思います。一言で表すと、正常な腰は、全体が均一で整っているので「整理整頓」されていると言えます。
なぜ差が出るのか?
この様な差は、日頃の生活態度や運動、仕事も関係しておりますが、遺伝的要素が50%も関与していることが証明されています。腰痛の家系がある方は、若年の頃から腰を労ることが肝要であると思います。ちなみに私の実父も椎間板ヘルニアであり、PLDD(経皮的レーザー椎間板減圧術)を受けていますし、もれなく私も椎間板ヘルニアを発症し、DRT(経皮的椎間板再生治療)を受けております。将来的に子供達の腰が心配です。
院長の一言
最近になり、当院では神経障害の後遺症に対しても治療を開始いたしました。幹細胞を利用したSTR治療やPRP治療などです。従来の日帰り腰痛治療だけでは治療が困難な患者様にも、対応するべく海外の医療機関と提携し、安全で幅の広い治療法を提案しております。多くの患者様に満足して頂くことを目標に、勇往邁進いたします。
さて、話は変わりますが、我らが阪神タイガースは、この週末に広島カープとの3連戦をなんとか勝ち越し、「アレンパ」に向けて踏みとどまっている状況です。手に汗握る日々が続きますが、私も診療をがんばりますので、タイガースにも頑張ってほしいと願います。
治療法
ディスクシール治療(Discseel® Procedure)
治療期間
日帰り
治療費用
1,320,000円~1,650,000円(税込)
リスク・副作用
治療後2週間程度は一時的に症状が悪化する可能性があります。ごく稀に椎間板の容量が増えたことによって周りの筋肉・関節や靭帯などの広がりにより筋肉痛や腰の違和感が出現することもあります。
この記事の著者
医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行
2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアとは背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が外に飛び出し神経を圧迫する疾患です。坐骨神経痛、ぎっくり腰などの症状を引き起こします。
腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症とは背骨にある神経の通り道「脊柱管」が狭くなる疾患です。腰痛、足の神経障害や歩行困難などの症状を引き起こします。
椎間板変性症
椎間板変性症とは背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が変形する疾患です。椎間板の変形により、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症やすべり症など様々な病気につながる恐れがあります。
坐骨神経痛
坐骨神経痛とは、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などを原因とし、腰から下部の臀部や脚に痛みやしびれを感じる症状です。