患者様の情報

80代 男性

疾患・症状

状態

2022年2月に脊柱管狭窄症による神経痛により車椅子になっておられましたが、心臓病のために外科的手術ができないため、ディスクシール治療を行いました。下肢のしびれが残っているために、本日東京院を受診されています。

疼痛スケール

治療当日現在
腰の痛み8点3点
下肢の痛み10点2点
しびれ10点10点
臀部の痛み5点0点

(患者様に痛みを10段階で評価してもらい、0点は痛みがない状態を意味します)


検査

治療前後のMRI写真です。向かって右側の写真が治療前(2022年2月)、左側の写真が本日の写真です。

治療前後のMRI写真

治療前と治療後で、脊柱管狭窄症に関して変化はほとんど見られないようですが、若干ですが狭窄が改善していることが確認されます。少なくとも狭窄症が進行していることはありません。


診察

10分以上の連続歩行ができるようになっており、杖歩行で来院されるまで改善していました。車いすも全く使用されていないとのことでした。下肢の筋力低下はありませんが、感覚障害が残存しており、足裏のしびれ(砂利の上を歩いているような感覚)が気になる状態です。とりあえず内服薬で対応し、改善がなければSTR治療(幹細胞由来組織修復治療)を検討することにいたしました。


まとめ

治療後も、しびれなどの感覚障害に改善がない場合があります。理由は、神経障害が一定以上進行してしまうと後遺症になってしまうためです。早期に治療すればしびれも残らないのですが、治療が遅れるとしびれが取れない場合もあります。しびれ対策としては、一般的には、内服薬やSCS治療(脊髄神経刺激療法)などがありますが、いずれも有効率は50%程度と高くありません。当院では、STR治療(幹細胞由来組織修復治療)を行うこともありますが、しびれが100%取れる保証はありません。一番の対策は、早期の治療だと考えます。



院長の一言

本日は東京院で診察を行っております。朝5時に奈良を出発する電車に乗り8時40分頃に東京駅に到着しております。新幹線の乗車時間は2時間30分ほどですが、睡眠がとれるので助かっております。本日は都内の腰痛クリニックで治療を受けられた患者様が来院されました。なんと、禁忌である疾患に治療が施行されており、神経痛が悪化し、麻痺状態になられていました。お話を伺うと、治療歴2年目くらいと経験の浅い医師が担当したようですが、海外であれば訴訟になるほどの大失態です。患者様には、麻痺が残る可能性を説明し内服薬での治療を行い、2週間で改善がなければ外科的手術が必要になりうると説明しました。

この件は医学論文「Neurocirugía」(英語)とともに、石田副院長と山崎医師達にも共有し注意するように促しております。東京は日本の首都ですが、医療に関しては玉石混合だと実感した1日になりました。

さて、阪神タイガースはジャイアンツに3連勝しております。本日の結果次第では首位復帰もあり得る状況です。がんばれ阪神タイガース!

ヘルメット娘ちゃん

治療法

ディスクシール治療(Discseel® Procedure)

治療期間

日帰り

治療費用

1,320,000円~1,650,000円(税込)

リスク・副作用

治療後2週間程度は一時的に症状が悪化する可能性があります。ごく稀に椎間板の容量が増えたことによって周りの筋肉・関節や靭帯などの広がりにより筋肉痛や腰の違和感が出現することもあります。


この記事の著者

医療法人蒼優会理事長・NLC野中腰痛クリニック院長:野中康行

医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任


腰部脊柱管狭窄症

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腰部脊柱管狭窄症とは背骨にある神経の通り道「脊柱管」が狭くなる疾患です。腰痛、足の神経障害や歩行困難などの症状を引き起こします。


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