本日、ネットニュースを見ていると「自然科学分野で国際的に注目されている論文の引用回数」が国別にランキングされていました。2008年頃までは日本は世界5位以内を維持していましたが、2009年以降はずるずると後退し、間近では世界13位まで落ちており、上位国とは圧倒的に差が開き、近隣国の韓国よりも下位になっています。
補正論文数における世界ランキング
主要国の世界ランキングの推移
腰痛治療の現状
世界ランキングの中には医療分野の論文も含まれています。14年前に私が腰痛治療を開始したときは、PLDD(レーザー治療)やオゾン治療しかありませんでしたが、瞬く間にディスクシール治療やPRP治療、幹細胞関連の治療が北米を中心に報告され、海外では保険適応されるようになっています。少なくとも日本の腰痛治療に関する医療水準は、10年程前から明らかに差が開き続けており、海外の治療技術に対して日本は大きく立ち遅れている状況です。
例えば、日本では腰痛や坐骨神経痛は内服で我慢して、歩けなくなったらインプラント手術をしなさいとなりますが、海外ではリスクの高いインプラント手術は行わずに、局所麻酔による日帰り治療が行われています。
腰痛治療の未来
医療分野では論文が発表されてから5年から10年後に安全性や有効率が検証され、医療技術として確立されます。年々、論文ランキングが低下し、間近で13位まで低下しているという事は、年を追うごとに加速度をつけて、海外と差が開く事を示唆しています。それを考えると、日本の医療技術の将来は暗いのかもしれません。腰痛治療の未来も然りです。
やるべきこと
海外との技術各差は広がり続けていくことが予測され、医療分野ではその差を取り返すことは至難です。従って、海外の医療技術を積極的に導入していくことが急務です。腰痛治療に関して言えば、当院では海外で行われている標準治療を導入してはいますが、さらに10年先を見据えて、海外医療機関との連携をより密にしてくことが大切だと考えています。
出典元
治療法
ディスクシール治療(Discseel® Procedure)
治療期間
日帰り
治療費用
1,320,000円~1,650,000円(税込)
リスク・副作用
治療後2週間程度は一時的に症状が悪化する可能性があります。ごく稀に椎間板の容量が増えたことによって周りの筋肉・関節や靭帯などの広がりにより筋肉痛や腰の違和感が出現することもあります。
この記事の著者
医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行
2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任