患者様の情報

70代 男性

疾患・症状

患者様の状態

10代の頃より車の整備士をされており、20代で起業され、脇目も振らずに一生懸命仕事をされていたそうです。60歳頃から坐骨神経痛が出現するようになり、63歳で仕事を引退されています。旅行や釣りなどを楽しみながら余生を過ごす予定が、坐骨神経痛の為に自宅から近所のスーパーに買い物に行くことすらできない状態が続き「何のために仕事をがんばってきなのか……」と言われ、当院を受診されています。


診察と検査結果

MRI

腰のMRI検査です。腰のクッションである椎間板が消耗しており、足の神経の通り道である脊柱管が狭くなっております。過労による脊柱管狭窄症と診断しました。


施術内容

DRT法(経皮的椎間板再生治療)

10年以上も神経障害が持続していることから、DRT法を行いました。DRT法は私自身も受けている治療です。

治療風景①

治療台の上にうつ伏せになって頂き、治療を開始しております。鎮静剤の使用は希望されませんでしたので、局所麻酔薬のみでDRT法を行っております。

治療風景②

椎間板の消耗は、骨の変形を引き起こすために治療用の管を挿入するのに難渋しております。治療用の管はNST針(椎間板治療専用の軟度の高い管)を使用しました。

治療風景③

患者様に検査や治療の方法をご説明しているところです。

椎間板内を検査しているところです。複数箇所で損傷部分が確認されています。この後DRT治療を行っています。

治療前後のレントゲン透視

治療前後の写真です。左側が治療前、右側が治療後の状態になります。治療時間は23分でした。帰宅される時には、坐骨神経痛が5割程度改善しており、かなり喜ばれていました。


院長の一言

腰は消耗品です。過度の負担をかけ続けると損傷し、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症を引き起こしてしまいます。人生100年時代とは言いますが、神経痛に悩まされ、歩けない人生では意味が薄いと思います。

北米で米軍の兵士が長年の兵役で坐骨神経痛を発症し、自殺率が上昇していることが判明したため、退役軍人に対して、昨年4月に国の保険でディスクシール治療が無料で受けられるようになっています。日本でも保険適応されればよいのですが、治療ライセンスの解放がされていないために困難な状況が続いています。

また昨日は、私が循環器内科時代の恩師がディスクシール治療を受けに来られました。名前は言えませんが、関西圏ではかなり高名な先生であり、私も治療をするのに恐縮しきりでした。

さて、本日より阪神タイガースは、首位巨人との3連戦に臨みます。もう勝つしかありません。頑張れタイガース!

ヘルメット娘ちゃん

治療法

DRT法(経皮的椎間板再生治療)

治療期間

日帰り

治療費用

1,430,000円~1,760,000円(税込)

リスク・副作用

治療後は内出血・腫れ・発赤・疼痛・かゆみ・変色・および圧痛が発生することがあります。ごく稀に椎間板の容量が増えたことによって周りの筋肉・関節や靭帯などの広がりにより筋肉痛や腰の違和感が出現することもあります。

禁忌事項

血液疾患に罹患中の方(血小板減少症、高度の欠乏性貧血など)、感染に伴う全身症状(発熱など)、癌・悪性腫瘍と診断され術後治療中の方は治療できません。


この記事の著者

医療法人蒼優会理事長・NLC野中腰痛クリニック院長:野中康行

医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任


腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症とは背骨にある神経の通り道「脊柱管」が狭くなる疾患です。腰痛、足の神経障害や歩行困難などの症状を引き起こします。


坐骨神経痛

坐骨神経痛

坐骨神経痛とは、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などを原因とし、腰から下部の臀部や脚に痛みやしびれを感じる症状です。