患者様の情報
40代 男性
疾患・症状
患者様の状態
患者様は国際線のパイロットをなされている方です。5年ほど前より腰痛が出現するようになり、最近は長時間のフライト後の腰痛で立つことが出来ないとのことでした。3年ほど前に同僚のパイロットが当院で治療されて改善されていることから、紹介で受診されています。
診察と検査結果
腰のMRI検査ですが、複数の椎間板が潰れて変形しています。椎間板ヘルニアと診断します。また足の神経の通り道も狭くなっており、脊柱管狭窄症も合併している状態です。
施術内容
ディスクシール治療(Discseel® Procedure)
椎間板にAnnulogram検査を行ったところ、損傷を認めたため、ディスクシール治療を行いました。もし損傷が無ければ、レーザー治療やディスコゲル治療(セルゲル法などと言われています)による減圧治療が適応になります。MRI検査では、椎間板の厚みが低下していれば損傷があり、厚みが低下していなければ損傷がない可能性が高くなります。
治療用の管を3箇所に挿入しました。患者様には鎮静剤と局所麻酔で寝ておられますので、痛みを感じられることはありません。
椎間板に対してAnnulogram検査を行っているところです。この検査は、北米では椎間板治療をする際に必ず行うように推奨されていますが、日本では検査を行わずに椎間板治療を行っている施設がほとんどのようです。
左側の写真が治療前、右側の写真が治療後の写真となります。しっかりと椎間板繊維輪に治療されている事を確認しています。
当院では、海外で行われている腰痛治療を導入し7年目になりますが、治療ガイドラインに従い適切に治療を行っております。
院長の一言
幾人かのパイロットの方に治療をさせて頂きましたが、航空会社ではパイロットの健康について厳しい審査があるようで、健康である事が証明しなければ業務に従事出来ないと聞きます。
さて、昨日より大阪では天神祭りが開催されています。本日は花火大会も予定されており、非常に多くの人出で賑わいます。開催場所は、我々のクリニックからも距離的にも近く、午後から交通規制が行われ、車道も歩行者天国となります。本当は私も天神祭りに行きたいのですが、コロナ感染者が増えているので、我慢しております。
治療法
ディスクシール治療(Discseel® Procedure)
治療期間
日帰り
治療費用
1,320,000円~1,650,000円(税込)
リスク・副作用
治療後2週間程度は一時的に症状が悪化する可能性があります。ごく稀に椎間板の容量が増えたことによって周りの筋肉・関節や靭帯などの広がりにより筋肉痛や腰の違和感が出現することもあります。
この記事の著者
医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行
2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアとは背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が外に飛び出し神経を圧迫する疾患です。坐骨神経痛、ぎっくり腰などの症状を引き起こします。
腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症とは背骨にある神経の通り道「脊柱管」が狭くなる疾患です。腰痛、足の神経障害や歩行困難などの症状を引き起こします。