患者様の情報
80代 男性
疾患・症状
患者様の状態
10年以上前から坐骨神経痛にお悩みの患者様です。腰痛は20年以上前から自覚されている状態です。自宅から公園まで歩いて5分程の距離が休みながらしか歩けない状態で、このままでは誰かの世話になってしまうことが怖くて当院を受診されています。
診察と検査結果
腰のMRI検査ですが、第2腰椎から第1仙骨の間の椎間板がほとんど消失しかかっている状態です。おそらく30年以上前から椎間板損傷が持続しているものと推察されます。足の神経も圧迫を受けており、脊柱管狭窄症と診断します。
施術内容
DRT法(経皮的椎間板再生治療)
日帰り治療としては、ディスクシール治療ないしはDRTが適応になるのですが、治療用の管が椎間板に留置できる隙間があるのかが問題です。患者様には治療が出来ない可能性も含めてご説明しつつ、DRT治療を行う事と致しました。
治療時間が30分以上となる可能性があるため、患者様には鎮静剤で寝ていただきました。
骨の変形が強い為に治療用の管も硬度の高いPRC針を使用しております。骨の変形が強すぎて、椎体骨をかすめる形でPRC針を椎間板まで挿入しております。
右手に力を入れる必要があるので、手が痺れてしまいました。
椎間板に管を挿入するのに20分以上要しましたが、無事に4箇所の椎間板をすべて治療する事ができました。
治療時間は34分でした。おそらく欧米でも、これほど難易度の高い治療を行った例はほとんどないと思われます。
院長の一言
椎間板ヘルニアも脊柱管狭窄症も軽症の段階で治療を行えば成功率は90%を超えるのですが、重症化するほど成功率は低下することが報告されています。椎間板の隙間が消失するほど重症化してしまった場合には、物理的に治療する事が出来なくなることもあります。腰の治療は重症化する前に早期介入が大切であり、癌の治療も虫歯の治療も同じで、病気は早期に治療してしまうことが肝要です。
さて、昨日は息子を連れて甲子園球場に行っておりましたが、我らがタイガースは12得点を挙げ、広島カープに完勝いたしました。おかげで、本日は足取りも軽く出勤することが出来ました。
また、梅雨も明け全国的に熱波が到来しております。皆様も体調管理には十分気をつけて、お過ごしください。
今回の治療法
DRT法(経皮的椎間板再生治療)
治療期間
日帰り
治療費用
1,430,000円~1,760,000円(税込)
リスク・副作用
治療後は内出血・腫れ・発赤・疼痛・かゆみ・変色・および圧痛が発生することがあります。ごく稀に椎間板の容量が増えたことによって周りの筋肉・関節や靭帯などの広がりにより筋肉痛や腰の違和感が出現することもあります。
禁忌事項
血液疾患に罹患中の方(血小板減少症、高度の欠乏性貧血など)、感染に伴う全身症状(発熱など)、癌・悪性腫瘍と診断され術後治療中の方は治療できません。
関連するの疾患と症状
腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症とは、背骨にある神経の通り道「脊柱管」が狭くなる疾患です。腰痛や足の神経障害、歩行困難などの症状を引き起こします。
椎間板変性症
椎間板変性症とは、背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が変形する疾患です。椎間板の変形により、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症などの様々な病気につながる恐れがあります。
坐骨神経痛
坐骨神経痛とは、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などを原因とし、腰から下部の臀部や脚部に痛みや痺れを感じる症状です。
この記事の著者
大阪本院 院長野中 康行
2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任