治療症例/ 院長ブログ

完全麻痺が出現したら日帰り治療はできません

患者様の情報

70代 男性

疾患・症状


患者様の状態

63歳まで漁業関連のお仕事をされておられました。70歳頃から坐骨神経痛により50mの歩行も困難となられたため、昨年末に近隣の大学病院で外科的手術を受けられました。手術直後より右足に麻痺が出現し、足が上がらない状態となり、手術後半年以上経過しても改善がないため当院を受診されました。


検査

MRI

腰のMRI検査ですが、第3腰椎から第5腰椎の在板にある椎間板の変形があり、椎間板ヘルニアと診断されます。足の神経の通り道も狭いままで、脊柱管狭窄症が残存しております。


診察

右足は筋肉の萎縮が見られており、神経原生筋萎縮が疑われました。脹脛より下の部分では、振動および表在感覚、腱反射も消失していました。完全麻痺の状態です。


考察

麻痺が出現してから6ヵ月以上経過している状態でしたので、改善させる治療法がない事をお伝えしなければなりませんでした。外傷などで脊髄損傷が生じた場合に、受傷直後に幹細胞治療を行うと改善する可能性は報告されてはいますが、今回は適応外であり、残念ながらリハビリ等で対応せざるを得ない状態だとご説明させて頂きました。


院長の一言

感覚も完全に消失し、運動も全くできないような完全麻痺に対する治療法は、再生治療の領域でも未だ治療法がありません。本日は非常に心苦しい外来になってしまいました。私も悔しく思っております。治療が出来ず申し訳ございませんでした。


今回の治療法

ディスクシール治療(Discseel® Procedure)

治療期間

日帰り

治療費用

1,320,000円~1,650,000円(税込)

リスク・副作用

治療後2週間程度は、一時的に症状が悪化する可能性があります。ごく稀に椎間板の容量が増えたことによって、周りの筋肉や関節、靭帯などの広がりにより、筋肉痛や腰の違和感が出現することもあります。


関連するの疾患と症状

腰椎椎間板ヘルニア

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腰椎椎間板ヘルニアとは、背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が外に飛び出し、神経を圧迫する疾患です。坐骨神経痛やぎっくり腰などの症状を引き起こします。

腰部脊柱管狭窄症

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腰部脊柱管狭窄症とは、背骨にある神経の通り道「脊柱管」が狭くなる疾患です。腰痛や足の神経障害、歩行困難などの症状を引き起こします。

変形性腰椎症

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椎間板変性症とは、背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が変形する疾患です。椎間板の変形により、腰椎椎間板ヘルニア腰部脊柱管狭窄症腰椎すべり症などの様々な病気につながる恐れがあります。

坐骨神経痛

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この記事の著者

医療法人蒼優会 理事長・野中腰痛クリニック 大阪本院 院長:野中康行

大阪本院 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任


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