学会会場前にて院長

本日3/23は日本再生治療学会の最終日でした。日本における再生治療には複数の方法が検討されています。例えば幹細胞治療、iPS細胞治療、PRP治療、エクソソーム治療などです。なおDST(ディスクシール治療)は北米では腰の再生治療としてFDAの認可を受け、すでに保険適応となっていますが、ライセンス制のため日本では当院を除いて許可されていません。本日は、腰痛に対する再生治療法の実施状況を確認してみました。


実施状況

実施状況

幹細胞治療とiPS細胞治療は治験レベルであり普及には至っておりません。そのため有効性も確定されていません。
PRP治療は、日本国内では報告が少ないですが、腰痛の改善効果が報告されています。再生よりも炎症を抑える効果により、腰痛の改善が認められるようで、北米では治療件数が増えています。 エクソソーム治療は点滴治療で腰痛に対して効果が期待されていますが、エビデンス獲得には至っておらず、国内では腰痛に対して投与されることは少ない状況です。また海外では点滴ではなく、椎間板に直接投与する方法が行われています。
DST治療は日本国内では我々のクリニックのみが行っていますが、北米ではエビデンスが確立され、再生治療として唯一保険適応となっています。


まとめ

腰痛に対する幹細胞治療、iPS細胞治療は未完成であり普及には20年以上かかると思われます。PRP治療とエクソソーム治療は10年以内に普及し海外で保険適応になる可能性がありますが、日本で普及して保険適応となるには10年以上必要になると思われます。
DST治療は高度な技術が必要であり、重ねてライセンスの問題から日本では保険適応になる可能性は低いと思われます。
以上より、日本において腰の再生治療が手軽に保険で受けられるようになるのは、早くて10年先だと思われます。それまでは自費での対応が必要になってしまうと考えます。


院長の一言

最近は再生治療のカテゴリーとしてエクソソーム治療の研究が世界中で行われていますが、エクソソームに関する特許数は北米43、EU43、中国49、日本1でした。僕は北米とEUで研修してきましたが、これからは中国へ留学する日がくるかもしれません。


治療法

DST法(ディスクシール治療)

治療期間

日帰り

治療費用

1,320,000円~1,650,000円(税込)

リスク・副作用

治療後2週間程度は一時的に症状が悪化する可能性があります。ごく稀に椎間板の容量が増えたことによって周りの筋肉・関節や靭帯などの広がりにより筋肉痛や腰の違和感が出現することもあります。


この記事の著者

医療法人蒼優会理事長・NLC野中腰痛クリニック院長:野中康行

医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任