本日は再生医療学会2日目です。朝9時からセッションに参加しておりました。再生治療の保険適応の現状について、ご報告したいと思います。

学会会場前にて院長と副院長

保険適応の現状について

日本で再生治療として保険認可されている再生治療は、皮膚の潰瘍に対するPRP治療が有名ですが、効果は北米企業が開発したプレートマックス(PLTMax)に劣っている可能性が高い状態です。また現時点では腰の治療に関して日本国内で保険適応と認められた再生治療はありません。


開発状況に関して

日本国内において、東海大学医学部がアメリカのジェネシス社の協力のもと腰の再生治療として椎間板に対する幹細胞移植を試みましたが、有意差が確立されず、追加の試験も頓挫しておりエビデンスが確立されなかったようです。対して、北米ではすでに腰に対するDST治療やPRP治療、エクソゾーム治療が実施されており効果が確認され多くの患者に実施されていますが、日本では治験数が少なくエビデンス確立に至っていません。

学会発表の様子2日目

まとめ

腰痛治療に対して、再生治療のエビデンス確立には最低でも5年が必要であると考えます。さらに保険適応になるには早くて10年以上先と考えられます。


院長の一言

なぜ海外に比べて、日本の再生治療が出遅れてしまったのか。理由は明白です。
①先進国では国民皆保険制度がないため、自費で費用が払えない患者様は積極的に治験に参加してくれますが日本では医療費が安いために、わざわざ治験に参加してくれる患者様が極めて少ないこと
②ジェネリック薬品の採用により日本国内の製薬メーカーの利益が減少し、開発費が捻出できなくなっていることが考えられます。
厳しい例えになりますが、国民皆保険のおかげでiPhone7は日本国民全員が手にすることができるようになりましたが、保険外診療でしかiPhone15は手に入らない状況といえます。医療も競争原理が働かない限り、発展が遅れてしまいますが、野中腰痛クリニックでは海外でもエビデンスが確立された腰痛治療を提供し、患者様の満足度向上に寄与してまいりたいと思います。


治療法

DST法(ディスクシール治療)

治療期間

日帰り

治療費用

1,320,000円~1,650,000円(税込)

リスク・副作用

治療後2週間程度は一時的に症状が悪化する可能性があります。ごく稀に椎間板の容量が増えたことによって周りの筋肉・関節や靭帯などの広がりにより筋肉痛や腰の違和感が出現することもあります。


この記事の著者

医療法人蒼優会理事長・NLC野中腰痛クリニック院長:野中康行

医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任