患者様の情報

60代 男性

疾患・症状


患者様の状態

2020年1月頃より脊柱管狭窄症による坐骨神経痛を自覚されており、杖歩行でかろうじて身の回りのことはできる状態でした。2023年2月に当院を受診され、4箇所の椎間板にDST(ディスクシール治療)を行いました。しかし、約1年後の2024年3月に坐骨神経痛の改善がまったく無い状態で受診されています。


治療経過

治療前

治療前MRI

特に第2腰椎から第5腰椎までの3箇所の椎間板付近で神経障害が目立ちます。脊柱管狭窄症と診断されます。

治療後

治療後MRI

4番目と5番目の腰椎の椎間板の狭窄部位は治療後には改善傾向を認めます。少なくとも悪化を予防しているとは判断されますが、坐骨神経痛は持続しています。


外来での説明内容

DST(ディスクシール治療)の坐骨神経痛の改善が無い場合もあること、治療後1年経過した時点で改善が全くない場合には、改善の無いグループに入っていること。原因は後遺症的な神経障害、もしくは関節や骨格の障害などの関与が考えられ、坐骨神経痛の改善に向けて追加での対策を提案させて頂きました。


対策

追加での椎間板治療は行うことは可能でしたが、まずは3ヵ月間(計12回)の腰痛リハビリを指導させて頂くことをお勧めいたしました。さらに改善が乏しければ追加での椎間板治療もご説明しました。

改善率と有効率

万一ディスクシール治療後改善が無い場合に、追加で腰痛リハビリを行った場合には、坐骨神経痛であれば60%以上で改善が期待できます。


まとめ

本日、患者様より治療効果がないことを強く叱責されました。最新の治療であっても治療効果には限界があることは医療者側の勝手な意見であり、ご病気の患者様からすれば到底納得のいくものではありません。従って、当院においては、改善の乏しい場合には腰痛リハビリ追加の椎間板治療法を実施して、可能な限り患者様のご要望に沿うような症状の改善に向けて、全力で取り組んでおります。
海外の治療を導入し、まもなく7年目。年内には治療患者様も6,000名に達します。これからも、多くの患者様に笑顔になって頂けるように、スタッフ一同精進してまいりたいと思います。


治療法

DST法(ディスクシール治療)

治療期間

日帰り

治療費用

1,320,000円~1,650,000円(税込)

リスク・副作用

治療後2週間程度は一時的に症状が悪化する可能性があります。ごく稀に椎間板の容量が増えたことによって周りの筋肉・関節や靭帯などの広がりにより筋肉痛や腰の違和感が出現することもあります。


この記事の著者

医療法人蒼優会理事長・NLC野中腰痛クリニック院長:野中康行

医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任


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