患者様情報
30歳代・男性
病名
治療前の状態
元々椎間板ヘルニアがあり、坐骨神経痛で動けない状態であったため、私が2018年7月2日にディスクシール治療(Discseel® Procedure)を行っています。ディスクシール治療後はハーフマラソンやバックカントリースキーも可能となり喜んでいましたが、今年の2月11日に八方尾根スキー場で、後方から追突され大転倒し、右腰に激痛が出現したため本日当院を受診しています。私にとってはスキー部の後輩で、近くで眼科を開業しており、本日は休診日とのことです。
治療当時
2018年7月2日 ディスクシール治療(Discseel® Procedure)の記録です。
治療後の経過
治療前のMRI
2018年7月2日のMRI検査です。第5腰椎と第1仙骨の椎間板が大きく飛び出しています。脱出型椎間板ヘルニアです。
治療後のMRI
2024年2月29日のMRI検査です。ディスクシール治療(Discseel® Procedure)部位のヘルニアは消失しております。
出現した腰痛の原因と対策
幸い右腰の激痛は椎間板ヘルニアの再発ではありませんでした。症状は背中を反らす動作で腰痛発作が再現される状態であり、その際に右股関節にも疼痛が出現する事から椎間関節障害の可能性が高いと判断しました。椎間関節障害であれば、1ヵ月ほどで症状が緩和するはずであり、鎮痛薬を多めに処方し腰椎ベルトでの固定をするように指示をしました。また、今シーズンのスキーは完全に終了と伝えたところ、ガックリしていました。なお眼科の診察は座っているだけなので可能だそうで、安心しました。
まとめ
当院のディスクシール治療後5年9ヵ月経過の段階で、治療箇所には新たな損傷は見られませんでした。今回は事故による椎間関節障害で腰痛が再発したと判断します。最近も治療後に腰椎を骨折された患者様が来院されており、治療後であっても身の回りに気を付ける必要があると思います。「注意1秒、怪我一生」という標語を思い出します。
院長の一言
今日もアメリカから治療予約が入りました。日本と比較してアメリカでは、ディスクシール治療(Discseel® Procedure)の費用が約2倍になっているためです。患者様の家族が、日本での旅行を楽しんでもお釣りがくると言われていたそうです。経済的に日本も頑張ってほしいところですが、すでに医療分野の特許数では欧米に大きく後れをとっています。なんとか3月の再生治療学会では、欧米に負けないレベルの発表を期待したいと思います。もちろん、阪神タイガースの快進撃も期待しております。
治療法
PLDD法(経皮的レーザー椎間板減圧術)
治療期間
日帰り
治療費用
308,000円~473,000円(税込)
リスク・副作用
治療を受けた後に今までになかった腰痛や痺れ、太ももに筋肉の張りを感じる場合があります。症状や状態により個人差がありますが、手術後1週間~1ヵ月程これまでになかった症状が一時的に続くこともあります。また外科的手術と比べると確率は非常に低くなりますが、治療箇所からの感染症や、合併症などのリスクがあります。
この記事の著者
医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行
2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアとは背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が外に飛び出し神経を圧迫する疾患です。坐骨神経痛、ぎっくり腰などの症状を引き起こします。