患者様の情報
50代 男性
疾患・症状
患者様の状態
1月に東京院で診察をさせて頂き、本日、大阪院で治療を行わせて頂きました。患者様のご希望は坐骨神経痛を改善させて、重機を扱うお仕事に復帰する事と痛みがなく日帰りで治療を行う事の2点でした。
診察と検査結果
腰のMRI検査では第4腰椎と第5腰椎および第1仙骨の間にある椎間板が変形しており、椎間板ヘルニアと診断しております。
施術内容
ディスクシール治療(Discseel® Procedure)
ディスクシール治療(Discseel® Procedure)を行いました。同時に鎮静剤+局所麻酔薬を併用する事で無痛治療を行う事をお約束し、治療を行っています。
患者様には鎮静剤で寝ていただき、背中に局所麻酔薬を投与していきます。非常に細い針で麻酔をするため痛み反射さえ出現しません。例えるならば、インフルエンザワクチン程の痛みでしょうか。
治療用に管が2本背中から椎間板まで挿入していますが、傷跡は残りません。
治療用の管から椎間板を検査しているところです。
Annulargramと呼ばれる特殊な検査を行っています。動画中に矢印で示しているところが椎間板の損傷部分です。検査後にディスクシール治療(Discseel® Procedure)を行いました。
治療時間は15分でした。患者様は治療直後にお目覚めになられ、1時間後には新幹線で帰宅されました。
院長の一言
海外では手術に代わり、切開せずに治療する方法が日々研究されています。複数の治療方法が確立されており、大きく2種類のカテゴリーに分類されます。旧来の減圧治療グループ(レーザー治療、ディスコゲル、オゾン治療)と修復再生治療グループ(ディスクシール治療、DRT治療)となります。当院では6種類の治療法を患者様の病気の状態に併せて検査を行い、治療方法を決定しております。
同じように腰の日帰り治療を行っている施設は日本国内にもいくつかありますが、椎間板を直接検査せずに治療を行っている施設が大半です。個人的には治療よりも検査の方が大切であると考えています。なぜならば、治療による最大効果を引き出すには精密な検査が必要であり、治療方法の選択にも検査が必須であるためです。具体的にはMRI検査だけでは椎間板内の状態を正確に把握できないため、北米で提唱されているAnnulargram検査が適切だと判断しています。
まとめ
痛みを感じないためには鎮静剤と局所麻酔薬の併用が必要であり、正確に治療を行うためには、Annulargramなどの精密検査が必要だと考えます。
治療法
ディスクシール治療(Discseel® Procedure)
治療期間
日帰り
治療費用
1,320,000円~1,650,000円(税込)
リスク・副作用
治療後2週間程度は一時的に症状が悪化する可能性があります。ごく稀に椎間板の容量が増えたことによって周りの筋肉・関節や靭帯などの広がりにより筋肉痛や腰の違和感が出現することもあります。
この記事の著者
医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行
2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアとは背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が外に飛び出し神経を圧迫する疾患です。坐骨神経痛、ぎっくり腰などの症状を引き起こします。
椎間板変性症
椎間板変性症とは背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が変形する疾患です。椎間板の変形により、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症やすべり症など様々な病気につながる恐れがあります。
坐骨神経痛
坐骨神経痛とは、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などを原因とし、腰から下部の臀部や脚に痛みやしびれを感じる症状です。