患者様の情報
80代 女性(中国籍)
疾患・症状
患者様の状態
本日は中国在住の患者様で、日本在住のご家族に連れ添われて東京院に来院されました。今まで特段の症状を認めておられなかった様ですが、3ヵ月前から右下肢神経障害性疼痛を自覚されました。ここで、持参いただいた画像を拝見し、一瞬時が止まるほど驚きました。
検査
腰椎と椎間板があるはずの部位は一塊の塊となっており、考えらえない曲線を描き、通常は前方方向に傾いている仙骨がどのように立位を保持しているのか不思議なくらい後方に傾いています。L5/Sは椎間板を認めますが、L4/5は内部の変性が強く骨化が進んでいる可能性がありますが、椎間板の状態はこの時点では不明です。
お話を伺うと、幼少期のころ腰部を受傷され、戦時中であったことから治療を受けることが出来ず、骨癒合を起こし大きな変形を伴うも、以後の生活は様々な工夫をしながら過ごされておりました。
施術内容
DRT法(椎間板再生治療)
この度、初めて認めた坐骨神経痛の原因が、変性椎間板に起因する炎症性疾患の可能性があります。患者様とご家族様に説明させていただいたところ、他の医療機関を受診されるも、治療の選択肢もないと言われており、是非にでも当院での治療をご希望されました。
当院では6,000例を超える治療症例を経験しておりますが、その歴史の中でも群を抜いて困難が予想される症例でありました。しかし、困っておられる患者様に「当院での治療が最後の砦です」と言われては、なんとかするしかありせん。
院長にも助言を頂きながら、手術室のスタッフ総力を挙げこの難局に立ち向かいました!まずは通常はうつ伏せの体勢で腰の後ろから治療を行うのですが、放射線透視装置の可動範囲を考慮しながら体勢を工夫し横向き(側臥位)で治療を行いました。通常とは異なる体制、腰椎の変化により、解剖学的な危険性を慎重に検討しました。
通常は18ゲージ(約1ミリメートル)の穿刺針を椎間板内に挿入するのですが、今回は更に細い針を試験的に椎間板内に挿入した後に挿入しました。当院の治療は、極めて合併症が少ないのですが、今回も無事に終わるために今までにない緊張感と未知への不安と闘いながら慎重に穿刺を行いました。我々の平均治療時間は10分程度なのですが、今回は合計30分と時間を要しました。L5/Sの椎間板を造影したところ線維輪の損傷を認めたため、DRT法(椎間板再生治療)を行いました。
L4/5も同様に穿刺を行い、造影を行いましたが、椎間板周囲の血管が造影されたことから、椎間板の骨化が進行していることがわかりました。この様な椎間版には修復治療の適応とはなりませんので、PRPのみを使用しました。
治療後、患者様に問題ありませんでした。当院で治療できたことから、ご本人とご家族様に大変感謝されました。
副院長の一言
大変困難な症例ではありましたが、無事に治療を行うことが出来ました。今後の経過を見ていく必要はありますが、取り敢えずは治療できたことに安堵しております。我々は他院では治療困難と言われている症例でも諦めずに治療を行う手段をいくつも用意しております。当院の治療は低侵襲で日帰りの治療です。何かお困りの際には無料画像相談サービスもございますので、お気軽にご相談下さい。
最近どんどん寒くなってきました。ウィンタースポーツの季節の到来ですね。今年もスノーボードを楽しみたいと思います!そのために、ダイエットと体幹トレーニングを頑張りたいと思います。
治療法
DRT法(経皮的椎間板再生治療)
治療期間
日帰り
治療費用
1,430,000円~1,760,000円(税込)
リスク・副作用
治療後は内出血・腫れ・発赤・疼痛・かゆみ・変色・および圧痛が発生することがあります。ごく稀に椎間板の容量が増えたことによって周りの筋肉・関節や靭帯などの広がりにより筋肉痛や腰の違和感が出現することもあります。
禁忌事項
血液疾患に罹患中の方(血小板減少症、高度の欠乏性貧血など)、感染に伴う全身症状(発熱など)、癌・悪性腫瘍と診断され術後治療中の方は治療できません。
この記事の著者
医療法人蒼優会 理事
NLC野中腰痛クリニック 副医院長石田 貴樹
2009年:高知大学卒業・医師免許取得、2012年:神戸市立医療センター西市民病院勤務、2013年:兵庫県立尼崎病院勤務、2014年:関西労災病院勤務、2019年:ILC国際腰痛クリニック勤務、2021年:NLC野中腰痛クリニック勤務、2022年:2年間の研修を経て10月にライセンスを獲得、2023年:医療法人蒼優会理事就任・NLC野中腰痛クリニック副院長就任
椎間板変性症
椎間板変性症とは背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が変形する疾患です。椎間板の変形により、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症やすべり症など様々な病気につながる恐れがあります。
坐骨神経痛
坐骨神経痛とは、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などを原因とし、腰から下部の臀部や脚に痛みやしびれを感じる症状です。