患者様情報
82歳・男性
病名
治療当時の状態
患者様は群馬県在住の82歳男性です。農業を生業にされており、長年腰痛に悩まされていましたが、令和3年6月の田植え作業で右足に坐骨神経痛が出現するようになり、稲刈りも出来ない状態であるため令和3年11月に当院を受診し、椎間板ヘルニアに対してPLDD(経皮的椎間板レーザー減圧術)を日帰りで施行しています。
治療後の経過
腰痛と坐骨神経痛は椎間板レーザー治療後1~2ヵ月ほどで改善し、農作業も順調にこなされていたそうですが、今年1月に雪かきをなされてから腰痛が再発し、心配になられて本日当院外来を受診されています。
治療箇所のMRI比較
治療前
治療前(令和3年11月)のMRI写真です。第4腰椎と第5腰椎、そして第5腰椎と第1仙骨の間にある椎間板が変形し飛び出しています。2箇所に椎間板ヘルニアがあります。
治療後
治療後(令和6年1月30日)のMRI写真です。レーザー治療後の椎間板ヘルニアは吸収されております。
問題点
画像でヘルニアは改善しており、坐骨神経痛の再発も無い状態です。腰痛の再発は雪かきなどの過度の負荷により椎間関節などで捻挫が生じている状態であると判断致しました。自然に軽快する事をご説明し、安心していただきました。
対策
しびれは感覚障害を意味します。原因としては、椎間板ヘルニアによる炎症により感覚神経に後遺症が出現している可能性が考えられました。しびれの改善に関してはDRT(椎間板再生治療)を行う事で改善は期待されますが、費用も高額となる為に、まずは内服薬での治療を第一選択とさせて頂きました。
院長の一言
PLDD(経皮的椎間板レーザー減圧術)は欧米を含めて広く行われている治療法になります。椎間板が潰れている状態では、ディスコゲル治療(PIDT法、PIDD法、セルゲル法)と同じく禁忌と規定されていますが、椎間板が潰れていないヘルニアに対しては有効率が安定していること、安価であること、異物を残さないことから我々のクリニックでも積極的に治療を行っています。椎間板が潰れている場合には、ディスクシール治療(Discseel® Procedure)やDRT(椎間板再生治療)が適応になります。
本日は夕方より私の後輩医師6名と新年会を予定しております。今日は久々にビールを飲もうかな。
治療法
PLDD法(経皮的レーザー椎間板減圧術)
治療期間
日帰り
治療費用
308,000円~473,000円(税込)
リスク・副作用
治療を受けた後に今までになかった腰痛や痺れ、太ももに筋肉の張りを感じる場合があります。症状や状態により個人差がありますが、手術後1週間~1ヵ月程これまでになかった症状が一時的に続くこともあります。また外科的手術と比べると確率は非常に低くなりますが、治療箇所からの感染症や、合併症などのリスクがあります。
この記事の著者
医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行
2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアとは背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が外に飛び出し神経を圧迫する疾患です。坐骨神経痛、ぎっくり腰などの症状を引き起こします。
坐骨神経痛
坐骨神経痛とは、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などを原因とし、腰から下部の臀部や脚に痛みやしびれを感じる症状です。