患者様の情報
60代 男性
疾患・症状
患者様の状態
4月頃より両足に神経痛が出現する様になられました。元々トラクターの運転や工事現場での作業をなされておられ、定年後も第一線でお仕事を続けておられたそうです。当院に受診された時には坐骨神経痛の為にお仕事も休まれている状態で、一刻も早く完治して現場復帰を希望されていました。
診察と検査結果
腰のMRI検査です。第4腰椎と第5腰椎の間にある椎間板に変形が見られます。突出した形であり、椎間板ヘルニアと診断致します。椎間板内の圧力上昇から変形が生じますが、椎間板周囲には圧覚神経と共に痛覚神経が交叉しており、圧覚神経が刺激されると痛覚も刺激される構造になっているとされています。
重たいものを持ち上げる ⇒ 椎間板に負担がかかり中の圧力が上昇する ⇒ 椎間板周囲の圧覚神経が反応する ⇒ 痛覚が刺激され痛みとして感じる。
この現状は人間の防御反応と考えられています。これ以上重たいものを持つと椎間板が潰れますよといった合図になります。生命体に痛覚が存在する理由は生きていく上での防御反応と考えられます。
施術内容
PLDD法(経皮的レーザー椎間板減圧術)
椎間板内の圧力上昇を確認したので、椎間板1箇所(L4/L5)にPLDD法(経皮的レーザー椎間板減圧術)を行いました。
鎮静剤を使用しての治療をご希望されましたので寝ていただきました。その後に背中に局所麻酔を投与しています。
レーザー治療用の管を椎間板まで挿入しています。ヘルニアの形によって管の位置を調整しています。
治療箇所をレントゲンで再確認した後に、レーザー治療を行っているところです。治療時間は12分でした。患者様も治療終了直後にお目覚めになられました。
治療後、患者様にご説明したレーザー治療の照射デモです。
院長の一言
昨日、帰宅途中に新大阪のコンビニエンスストアへ寄った際に商品を配達されている方に声を掛けられました。突然でしたので「すいません。どなたでしょうか?」とお伺いすると、令和2年春に当院で治療を受けられた患者様の御子息でした。診察室にも入っておられそうですが、恥ずかしくも覚えておらず「あーあの時の……」としかお返しできませんでした。患者様ご自身は旅行ができるほど元気になられているそうで何よりでしたが、私も街中でお声をかけていただけるようになったのかと感慨深く思いました。反対に素行にも注意が必要ということになりますので誰に見られても良いように背筋を伸ばして歩こうと思います。
治療法
PLDD法(経皮的レーザー椎間板減圧術)
治療期間
日帰り
治療費用
308,000円~473,000円(税込)
リスク・副作用
治療を受けた後に今までになかった腰痛や痺れ、太ももに筋肉の張りを感じる場合があります。症状や状態により個人差がありますが、手術後1週間~1ヵ月程これまでになかった症状が一時的に続くこともあります。また外科的手術と比べると確率は非常に低くなりますが、治療箇所からの感染症や、合併症などのリスクがあります。
この記事の著者
医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行
2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアとは背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が外に飛び出し神経を圧迫する疾患です。坐骨神経痛、ぎっくり腰などの症状を引き起こします。
坐骨神経痛
坐骨神経痛とは、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などを原因とし、腰から下部の臀部や脚に痛みやしびれを感じる症状です。