患者様の情報
70代 男性
疾患・症状
患者様の状態
10年ほど前に腰椎すべり症と脊柱管狭窄症に対して外科的手術(後方固定術)を行われました。数年前より腰痛が出現する様になり、日常生活にも支障が生じていることから当クリニックを受診されました。
診察と検査結果
腰のレントゲン検査で真横から見た写真です。第3腰椎と第4腰椎の間に後方固定術の跡が見えます(ボルトが挿入)。手術部位の真上と真下の椎間板が潰れており、このような症状を椎間板変性症と言います。また、一部骨も損傷している状態が見られます。この様に手術部位に隣接する部分の障害を隣接椎間障害と言いFBSS(脊椎術後疼痛症候群)の1つとなります。
施術内容
ディスクシール治療(Discseel® Procedure)
損傷した椎間板2箇所(L4/L5、L5/S1)に対して検査と治療を行いました。
患者様より「眠らせてほしい」とご依頼を賜りましたので、鎮静剤を用いて寝ていただきました。お休みなって頂いた後、背中に部分麻酔を行っているところです。
手術用のボルトが少し治療の邪魔をしておりますが、治療用の管を変形させて目的である椎間板まで挿入しております。
無事に治療用の管を挿入致しまして、椎間板の状態を検査しているところです。椎間板治療の前に検査を行うことで損傷部分が特定されます。治療時間は18分でした。治療直後は患者様も少しぼんやりとされていましたが、10分程でお目覚めになられ「雲の上にいるようだった」とおっしゃられました。
院長の一言
年間治療件数が900件を超え、来年度の目標は1,000件以上を目指しております。治療成績も向上しており、椎間板治療単独の治療成績では大きく変動はないのですが、腰痛リハビリを組み合わせていくことで腰痛であれば90%以上の改善が認められております。もちろん治療件数が増えますと改善に至らない症例数も増えてしまいますので、より改善度を高めるべく研鑽に励んでもおります。また改善の乏しい患者様より厳しいお言葉やコメントを頂く事もありますが、新規治療を導入し改善率の向上を図る予定です。まだ2日前に行った白馬(八方尾根スキー場)の余韻が残っております。
治療法
ディスクシール治療(Discseel® Procedure)
治療期間
日帰り
治療費用
1,320,000円~1,650,000円(税込)
リスク・副作用
治療後2週間程度は一時的に症状が悪化する可能性があります。ごく稀に椎間板の容量が増えたことによって周りの筋肉・関節や靭帯などの広がりにより筋肉痛や腰の違和感が出現することもあります。
この記事の著者
医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行
2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任
腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症とは背骨にある神経の通り道「脊柱管」が狭くなる疾患です。腰痛、足の神経障害や歩行困難などの症状を引き起こします。
椎間板変性症
椎間板変性症とは背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が変形する疾患です。椎間板の変形により、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症やすべり症など様々な病気につながる恐れがあります。