患者様の情報

70代 男性

疾患・症状


患者様の状態

2年ほど前から腰痛、臀部痛、両下肢全体にしびれを認めておられたため、近医を受診されましたところ脊柱管狭窄症、腰椎すべり症と診断され、外科的な椎間固定術を提案されました。しかし、手術のリスクや術後の隣接椎間障害による症状の悪化を心配され、切らずに日帰りでの治療を行う当院での治療をご希望され受診されました。


診察と検査結果

MRI

腰部のX線写真では、通常5個認める椎体を6個認めておりますが、特別異常な所見ではありませんでした。MRIではL2/3~L5/S1にかけて椎間板の変性ヘルニア様の変化を認めており、脊柱管は高度の中心性狭窄を認めておりました。

症状の原因といたしまして①椎間板性の炎症と②狭窄(神経の通り道が狭くなっている事)の両方が複合的に関与している可能性も考えられましたため、病態を丁寧にご説明させていただき、外科的治療(固定術)を含めた複数の治療方針のメリットやデメリットを説明いたしましたところ、当院でのDRTによる椎間板再生治療をご希望されました。


施術内容

DRT(椎間板再生治療)

治療風景①
治療風景②

椎間板の後方で脊髄に近い理想的な部位に穿刺針(治療用の管)が挿入できております。

治療風景③
治療風景④

造影検査にて線維輪の損傷を認めましたので、DRTによる椎間板周囲組織の再生、線維輪の修復を目的に4か所の椎間板に対して治療を行いました。

鎮静剤を使用し患者様にはお眠りいただいた状態で治療を行い、治療時間は11分でした。


副院長の一言

私自身もDRT治療を行い、約1ヵ月が経過しました。治療後の経過は良好ですが、体勢によっては腰に違和感を感じる瞬間があるため、腰に負担の少ない姿勢を取り直して腰を保護しております。またリハビリの重要性も自覚しておりますので、業務の合間をみつけて、可能な時は当施設の2階にあります腰痛リハビリセンターにて体幹トレーニングを行っております。

学生時代以降、ここ20年ほど筋トレなど行っていなっかったため筋力低下が進んでおり、トレーニングは相当きついですが、リハビリに来られている患者様の姿を励み頑張りたいと思います。加齢により衰えていく筋力や柔軟性を維持できるように頑張っていきたいと思います!


治療法

DRT法(経皮的椎間板再生治療)

治療期間

日帰り

治療費用

1,430,000円~1,760,000円(税込)

リスク・副作用

治療後は内出血・腫れ・発赤・疼痛・かゆみ・変色・および圧痛が発生することがあります。ごく稀に椎間板の容量が増えたことによって周りの筋肉・関節や靭帯などの広がりにより筋肉痛や腰の違和感が出現することもあります。

禁忌事項

血液疾患に罹患中の方(血小板減少症、高度の欠乏性貧血など)、感染に伴う全身症状(発熱など)、癌・悪性腫瘍と診断され術後治療中の方は治療できません。


この記事の著者

医療法人蒼優会理事・NLC野中腰痛クリニック副院長:石田貴樹

医療法人蒼優会 理事
NLC野中腰痛クリニック 副医院長石田 貴樹

2009年:高知大学卒業・医師免許取得、2012年:神戸市立医療センター西市民病院勤務、2013年:兵庫県立尼崎病院勤務、2014年:関西労災病院勤務、2019年:ILC国際腰痛クリニック勤務、2021年:NLC野中腰痛クリニック勤務、2022年:2年間の研修を経て10月にライセンスを獲得、2023年:医療法人蒼優会理事就任・NLC野中腰痛クリニック副院長就任


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