患者様の情報

60代 女性

疾患・症状


患者様の状態

数年前より腰痛を自覚されており、近くの整形外科では椎間板ヘルニアと言われていましたが様子を見られていました。しかし、昨年の11月頃より坐骨神経痛が出現するようになり、前かがみの姿勢や長時間の歩行など腰に負担のかかる動作で神経痛が悪化する状態となった事から、当クリニックを受診されています。


診察と検査結果

MRI

腰を横から見たMRI写真ですが、向かって右側が背中側となります。腰は腰椎と呼ばれる骨が縦に並んで出来ており、腰椎と腰椎の間にはクッションの働きがある椎間板が存在しております。また腰椎と椎間板の傍には足の神経が通っています。このMRI検査では4箇所の椎間板が潰れており、飛び出した様な変形(椎間板ヘルニア)をしております。また足の神経も圧迫を受け、脊柱管狭窄症と呼ばれる状態であり、坐骨神経痛の原因と判断しました。


施術内容

DST法(ディスクシール治療)

潰れた椎間板を検査し治療する事で、坐骨神経痛の改善を図ります。腰椎L2/L3、L3/L4、L4/L5、L5/S1部分の4箇所にDST法(ディスクシール治療)を行いました。

治療風景①

治療用の管を背中から挿入しているところです。また今回は局所麻酔のみで、鎮静剤は使用せずに治療を行っております。

治療風景②

1箇所の椎間板が相当に潰れている状態であり、治療用の管を挿入する際に複数の角度から椎間板の状態を確認しているところです。

治療用の管が挿入し終わったところです。椎間板の造影検査を行っておりますが、動画の後半で黒く映る椎間板が見えますが、その部位が損傷した椎間板の部位となりDST(ディスクシール治療)を行う部分となります。治療時間は20分程度で、治療後2時間ほどで帰宅していただきました。


院長より一言

本日、脊柱管狭窄症による坐骨神経痛でお悩みの患者様より「先生の家族が同じ病気であればどうされますか?」とご質問を頂きました。これは究極の質問です。私は「まずリスクの低い保存的治療として、鎮痛薬とリハビリが第一である」とご説明いたしました。さらに「保存的治療による効果が無いようであれば、椎間板治療や外科的手術を考慮するべきだ」とご説明させて頂きました。椎間板治療と外科的手術のどちらを選択するかは、症状の重症度の違いで判断すべきであると思います。非常に重症で進行が早く、麻痺がでるような状況では、高いリスクがあるとはいえ外科的手術を選択すべきであると考えます。対して、外科的手術を行うほどの麻痺が出ていないのであれば、外科的手術よりもリスクが低い当院の椎間板治療は選択肢になると判断しています。その上で最終的には患者様が判断されるべきだとも思っています。治療方法の決定を医師に委ねられる方もおられますが、それぞれの治療法の利点と欠点をご説明し、患者様に決定していただいております。忙しい毎日ではありますが、健康に気をつけ、引き続き患者様のお役にたてるように頑張っていきたいと思います。


治療法

DST法(ディスクシール治療)

治療期間

日帰り

治療費用

1,320,000円~1,650,000円(税込)

リスク・副作用

治療後2週間程度は一時的に症状が悪化する可能性があります。ごく稀に椎間板の容量が増えたことによって周りの筋肉・関節や靭帯などの広がりにより筋肉痛や腰の違和感が出現することもあります。


この記事の著者

医療法人蒼優会理事長・NLC野中腰痛クリニック院長:野中康行

医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任


腰椎椎間板ヘルニア

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腰椎椎間板ヘルニアとは背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が外に飛び出し神経を圧迫する疾患です。坐骨神経痛、ぎっくり腰などの症状を引き起こします。


腰部脊柱管狭窄症

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腰部脊柱管狭窄症とは背骨にある神経の通り道「脊柱管」が狭くなる疾患です。腰痛、足の神経障害や歩行困難などの症状を引き起こします。


椎間板変性症

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椎間板変性症とは背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が変形する疾患です。椎間板の変形により、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症やすべり症など様々な病気につながる恐れがあります。


坐骨神経痛

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坐骨神経痛とは、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などを原因とし、腰から下部の臀部や脚に痛みやしびれを感じる症状です。