患者様の情報
70代 男性
疾患・症状
患者様の状態
脊柱管狭窄症に対して、昨年(令和3年)8月に脊椎固定術を施行されましたが、坐骨神経痛の改善が無く、歩行ができない状態が続いておられました。外科手術を行われた病院では、手術を行っていない部分に脊柱管狭窄症が出現し、症状が持続しているのであろうと説明されたとの事でした。
診察と検査結果
腰のレントゲン写真で、腰を真横から撮影したものとなります。向かって右側が背中側となります。レントゲン写真では、背骨を固定する為のボルトが3箇所に挿入されています。ボルトが入っていない背骨の部分では、背骨と背骨の間隔が狭くなっている状態です。
施術内容
ディスクシール治療(Discseel® Procedure)
ボルトが入っていない部分の椎間板に対して検査を行い、脊柱管狭窄症における神経症状の改善を図ります。腰椎L1/L2、L2/L3、L3/L4、L4/L5、L5/S部分の5箇所にディスクシール治療(Discseel® Procedure)を行いました。
局所麻酔を用いて治療用の管を椎間板まで挿入していきます。局所麻酔のみで行いましたので、この間患者様は意識がある状態です。約7分程度で管を挿入しました。
ボルトの入っていない椎間板を造影したところ、動画の様に黒く映る部分が描出されました。椎間板が損傷している部位になります。引き続きディスクシール治療(Discseel® Procedure)を行っております。
術後
2時間ほどで帰宅となりました。帰宅時には疼痛が4割程度改善しており、今後の治療経過に期待されます。
院長より一言
近年、外科的手術後の再発に対する椎間板治療も増えております。治療成績としては75%程度の有効率が期待されますので、お悩みの患者がおられましたら、電話だけでなくメールでも対応しておりますので、ご相談いただければと存じます。
治療法
ディスクシール治療(Discseel® Procedure)
治療期間
日帰り
治療費用
1,320,000円~1,650,000円(税込)
リスク・副作用
治療後2週間程度は一時的に症状が悪化する可能性があります。ごく稀に椎間板の容量が増えたことによって周りの筋肉・関節や靭帯などの広がりにより筋肉痛や腰の違和感が出現することもあります。
この記事の著者
医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行
2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任
腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症とは背骨にある神経の通り道「脊柱管」が狭くなる疾患です。腰痛、足の神経障害や歩行困難などの症状を引き起こします。
椎間板変性症
椎間板変性症とは背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が変形する疾患です。椎間板の変形により、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症やすべり症など様々な病気につながる恐れがあります。
坐骨神経痛
坐骨神経痛とは、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などを原因とし、腰から下部の臀部や脚に痛みやしびれを感じる症状です。