患者様の情報

30代 男性

疾患・症状


患者様の状態

18歳の時に重量物を持ち上げた際に、ぎっくり腰を発症されました。その後坐骨神経痛が出現するようになり、28歳の時にヘルニア除去手術(内視鏡下髄核摘出術)を施行されましたが、最近になり症状が再発したため、当クリニックを受診されました。


診察と検査結果

MRI

腰のMRI検査ですが、腰を真横から観察しており、向かって右側が背中側となります。腰は腰椎と呼ばれる比較的小さな骨が縦に並んで出来ており、腰椎と腰椎の間にはクッションである椎間板が存在しております。また足の神経も傍を通っております。このMRI検査では4箇所の椎間板で色が黒くなっており、飛び出した様な変形を伴っていますが、椎間板ヘルニアと呼ばれる状態になっております。その他椎間板の厚みも薄くなり、強く椎間板の損傷が疑われる状態です。


施術内容

DST法(ディスクシール治療)

椎間板ヘルニアの原因である椎間板の損傷を修復し、ヘルニアによる坐骨神経痛および腰痛の改善を図ります。今回は腰部椎間板L2/L3、L3/L4、L4/L5、L5/Sの4箇所にDST(ディスクシール治療)を行いました。

治療風景①
治療風景②

局所麻酔を用いて、治療用の管を挿入していきます。患者様が不安にならない様に、お声をおかけしながら、処置をしております。

治療風景③

患者様より治療中の様子をご覧になりたいとの希望がございましたので、モニター画面を患者様の前まで移動し、検査とDST(ディスクシール治療)の様子をご説明させて頂いております。

検査の様子ですが黒く映ってくる部分が椎間板の損傷部位ですので、この部位にDST(ディスクシール治療)を行いました。治療時間は18分程度であり、2時間後には歩いて帰宅していただいております。


院長より一言

本日、再診の患者様がお越しになられました。患者さまは76歳男性で脊柱管狭窄症による坐骨神経痛に対してDSTを行った方ですが、治療後2年経過しており、腰痛は8割方改善、下肢の神経痛も9割程度まで改善されておられ、運動(テニスとダンス)も再開できるまで改善がありました。しかし、しびれが残存しておられ、何か対策が無いかご相談に来られました。診察とMRI検査を行い、お話をさせて頂きましたが、しびれに関しては神経障害による後遺症である可能性が高く、完全緩解は困難であろうとご説明せざる得ませんでした。部分的に症状が残存する事もあり、歯がゆい気持ちになります。今後しびれに関する新たな知見や治療法があれば、海外研修項目に追加する予定にしております。


治療法

DST法(ディスクシール治療)

治療期間

日帰り

治療費用

1,320,000円~1,650,000円(税込)

リスク・副作用

治療後2週間程度は一時的に症状が悪化する可能性があります。ごく稀に椎間板の容量が増えたことによって周りの筋肉・関節や靭帯などの広がりにより筋肉痛や腰の違和感が出現することもあります。


この記事の著者

医療法人蒼優会理事長・NLC野中腰痛クリニック院長:野中康行

医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任


腰椎椎間板ヘルニア

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腰椎椎間板ヘルニアとは背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が外に飛び出し神経を圧迫する疾患です。坐骨神経痛、ぎっくり腰などの症状を引き起こします。


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腰部脊柱管狭窄症とは背骨にある神経の通り道「脊柱管」が狭くなる疾患です。腰痛、足の神経障害や歩行困難などの症状を引き起こします。


椎間板変性症

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椎間板変性症とは背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が変形する疾患です。椎間板の変形により、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症やすべり症など様々な病気につながる恐れがあります。


坐骨神経痛

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坐骨神経痛とは、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などを原因とし、腰から下部の臀部や脚に痛みやしびれを感じる症状です。