患者様の情報

80代 女性

疾患・症状


患者様の状態

何年にもわたる腰痛があられましたが、2年前に突然に足の間隔が消失し、歩行すら困難となられました。近くの大学病院に入院され、投薬とリハビリを受けられ、歩行が可能なまでしびれは改善されました。しかし、四六時中しびれが続き、特に歩行時にはしびれが強く出現する状態が続いておられたため、この度当クリニックを受診されました。


診察と検査結果

MRI

腰のMRI検査ですが、腰を横から観察しており、向かって右側が背中側となります。腰は腰椎と呼ばれる骨が縦に並んで出来ており、腰椎と腰椎の間にはクッションである椎間板が存在しております。また腰椎と椎間板の傍には足の神経が通っております。このMRI写真では3箇所の椎間板が潰れており、クッション機能が消失しております。その為腰椎が不安定となり、腰椎の並びが前方にずれています(前方へのずれを腰椎すべり症と言います)。
その結果、足の神経が圧迫を受けてしまい、しびれの原因となっております。


施術内容

DST法(ディスクシール治療)

外科的に手術を行い固定術をする方法もありますが、大きな手術となりますので年齢的にも耐えられるか微妙なところです。またお一人暮らしであることから入院は困難との判断し、椎間板治療を行い症状の改善を図る事と致しました。今回は腰部椎間板L3/L4、L4/L5、L5/S1の3箇所にDST(ディスクシール治療)を行いました。

治療風景①

患者様は不安も強くおありになられましたので、鎮静剤を使用し寝ていただいた上で局所麻酔を用いて治療を開始いたしました。

治療風景②

手早く治療用の管を椎間板まで挿入しているところです。患者様は寝ておられますので、まったく記憶はありません。

造影検査を行い、クッションである椎間板の損傷を確認しているところです。黒く映っている部分が損傷部位となり、この後DST(ディスクシール治療)を行っております。治療時間は18分であり、患者様に寝ていただいた時間は20分程でした。


術後

治療後2時間ほどベッドでお休みいただき、歩いて頂きました。しびれに関しては6割程度改善しているとお言葉を頂きました。


院長より一言

昨日、開業している眼科医師(同級生)と電話していたのですが、コロナ感染が広がった1月末頃より患者様の来院がほとんどない状態だと言っておりました。当院では若干のキャンセルは出ておりますが、3月中旬ごろまでは予約が埋まっている状態で、同級生からは仕事が出来て羨ましいと言われてしまいました。しかし、コロナ禍で特に感染が拡大している中での診察は、感染予防対策やスタッフの体調管理と定期的な抗原検査等々、大変な精神的ストレスがかかります。万一にでも患者様にクラスターを引き起こしてはならないからです。どのような業種であっても同様だと思いますが、特に責任ある立場の方は大変な苦労をされていると思います。早く感染状況が安定化し、少しでも自由に動ける世の中に戻ればと願いつつ、明日も目の前の患者様に集中をしていきます。


治療法

DST法(ディスクシール治療)

治療期間

日帰り

治療費用

1,320,000円~1,650,000円(税込)

リスク・副作用

治療後2週間程度は一時的に症状が悪化する可能性があります。ごく稀に椎間板の容量が増えたことによって周りの筋肉・関節や靭帯などの広がりにより筋肉痛や腰の違和感が出現することもあります。


この記事の著者

医療法人蒼優会理事長・NLC野中腰痛クリニック院長:野中康行

医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任


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