はじめに
当院にご来院された患者様から「レーザー治療(PLDD)って一体どこを焼くんですか?」というご質問をいただきました。
治療を検討されている患者様にとって、一体何が行われているのかが分からない状態は大きな不安につながります。
そこで今回は、椎間板ヘルニアに対するレーザー治療において、「どこを」「どのように」焼灼するのか、特に当院が行っている工夫について5分で読めるブログ記事として詳しくご紹介します。
この記事では、野中腰痛クリニック野中院長が動画で解説した「PLDD(レーザー治療)は椎間板のどこを焼く?椎間板ヘルニア治療のQ&A」に基づいて作成しています。
動画はこちら▼
目次
椎間板の構造とレーザー治療の目的
椎間板とは腰を支えるうえで非常に重要な役割を担っています。腰が曲げられるのは前後左右にクッション性の高い椎間板があるかです。ただし、この椎間板が背中側に飛び出し、神経を圧迫することで「椎間板ヘルニア」が発生します。
PLDD法(レーザー治療)では、背中側から細い針を挿入し、椎間板内にトンネルを作り、このトンネルを通じてレーザーを照射します。レーザーは先端だけが光を放出し、先端だけで焼いていきます。レーザー治療の目的は、この焼灼によって椎間板内の圧力を下げ、飛び出たヘルニアの圧力を軽減することです。


従来の「硬い針」と当院が用いる「曲がる針」の違い
レーザー治療において一番重要なのは、この「焼灼」をいかに精確に行うかです。この精確性によって治療後の成績を左右します。
従来の硬い針の課題


従来の方法では、真ん中を焼き、その後に飛び出ている側に針を移動させ、少し焼いて治療を終了するというのが基本的なパターンでした。
しかし、昔ながらに使われてきたレーザーの針は、非常に硬く、曲がらないのが特徴です。そのため、針をまっすぐに入れた方向にしか焼くことができず、この方法だと効果率が劣る可能性があります。
当院が採用する「曲がる針」(NST針)の利点


当院では、治療成績を向上させるために、特殊な曲がる針(NST針)を使用しています。この針は比較的柔らかく柔軟性を持ち、手の力だけで湾曲させることができます。もちろん、体内で折れたり残ったりすることはありません。
この曲がる針を使うことで、以下のようなメリットが生まれます。
- ピンポイント焼灼の実現
硬い針のように一本道で焼くのではなく、針の先端を曲げて(例:約90度に湾曲させて)挿入するなど、レーザーの操作を様々な方向で行いやすくなります。これにより、飛び出たヘルニアのある場所をピンポイントで焼くことが可能となります。
- 複数箇所への対応
当院では複数箇所を細かく焼く治療を可能としています。
- 緻密な調整
焼灼を進める中で、焼ききれない硬い音(硬い場所)がある場合、神経を焼かないよう細心の注意を払いながら、位置をずらして細かく焼いていきます。

数パーセントの向上が患者様にとって大きな意味を持つ
こうした「曲がる針」を用いた緻密な工夫によって、治療成績は硬い針で一本道で焼く方法よりも数パーセント向上するとされています。
医師側から見ると数パーセントは小さな差かもしれませんが、数十万円をかけて治療を受ける患者様からすれば、その数パーセントは非常に大きな差となります。
当院では、患者様に最良の結果を提供するため、手間暇はかかりますが、この細かな工夫を最大限に活用し、悪いところをピンポイントで焼き切るレーザー治療を追求しています。

当院の椎間板治療とは?
当院ではPLDD法だけでなく患者様のお身体の状態に合わせて様々な治療法をご提案しています。
椎間板が狭くなっている場合には、「ディスクシール治療」と「DRT法」を提供しています。
腰椎の間にある椎間板はクッションの役割を担っています。その椎間板に亀裂が入り、損傷すると中の髄核(ゼラチン状の水分)が漏れ出し、炎症が発生します。その炎症を止めるためにフィブリン製剤を使った椎間板修復治療を行います。そうすることによって椎間板の傷を塞ぎ、椎間板機能の改善および疼痛の改善が期待できる治療方法です。詳しくは下記のページをご覧ください。
この記事の著者
大阪本院 院長野中 康行
2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任