はじめに
今回の記事では、野中腰痛クリニック石田副院長が動画で解説した「すべり症が悪化するやってはいけないNG行動ワースト3」について、詳しくご紹介します
すべり症は、腰の骨が変形し前方にずれてしまう状態を指します。一度ずれてしまった骨は「自分の力では元には戻せません」、しかもすべり症は一般的に「どんどん進んでいく」と言われています。進行し、深刻な状態になると外科手術以外の方法がなくなる可能性もあります。
ご自身の行動が、知らず知らずのうちにこの深刻な状態を悪化させているかもしれません。中でも、腰の違和感があっても「大したことないだろう」と「自分で勝手に判断すること」は、すべり症を進行させる最大のワースト行動です。
本記事で、特に避けるべき危険な行動ワースト3を確認し、深刻な事態を避けるための適切な対応策を知る参考にしてみてください。
動画はこちら▼
目次
すべり症とは?
- 腰の骨(椎骨)が前方にずれてしまう状態であること
- 通常は骨の突起が引っかかって滑らないが、骨の変形によりずりずりと滑っていく
- 原因は、椎間板のクッション機能の低下、腰周りの筋肉の衰え、体重増加などが挙げられ、骨に負担がかかることで進行する
- 一度変形して滑った骨は、自分の力では元に戻せないため、外科手術が必要になる可能性があること
- すべり症は一般的に進行していくと言われていること



やってはいけないNG行動ワースト3
第3位:腰を強くそらす・ひねる動き


すでに腰の骨(椎骨)の形が変形しているすべり症の方にとって、腰を強くそらしたり、ひねったりする動きは、症状を悪化させやすい行動です。骨が変形しているため、普通の動きでは対応できず、これらの曲げたり、そらしたり、ひねったりする動作が負担となります。
注意すべき具体的な行動例
- ゴルフや野球などのスイングを伴うスポーツ
- うつ伏せで反り返った姿勢(反体位)で読書をすること
また、巷で「腰に良い」と言われている運動であっても、自己流で行ってしまうことが、かえって悪い運動となり、症状を悪化させているケースもあります。自分で判断せずに、やって良い運動を適切に行うことが大切です。
第2位:痛みがあるのに運動・ストレッチ・長時間歩行を続けること


すべり症が悪化すると、腰の痛みだけでなく、足に坐骨神経痛といった痛みが出てきます。このような痛みがある状態で、無理をして運動やストレッチ、長時間歩行を続けてしまうと、症状を悪化させる原因となります。
なぜなら、痛みとは「体からの悲鳴(サイン)」だからです。体は「それ以上もう頑張らないでくれ」「やめてくれ」というサインを痛みとして送っているのです。
しかしながら、痛みが強いからといって全く運動をしないのも良くありません。筋力や柔軟性が低下してしまうため、適度な運動はやはり大切になってきます。
ポイント:症状の原因が、骨の炎症によるものなのか、それとも筋力低下や柔軟性の低下によるものなのかによって、運動して良いかどうかの判断が変わってきます。この判断は非常に難しいため、必ず専門家の意見を仰いでください。
第1位:ズバリ「自分で勝手に判断する」こと


すべり症の悪化を招く最も危険な行動、ワースト1は「自分で勝手に判断すること」です。
多くの方は、腰痛や違和感があっても「大したことないだろう」と思い込んでしまいがちです。さらに、一時的に症状が落ち着くと「治った」と判断してしまう傾向があります。しかし、すべり症は症状が全くない方でも、骨のずれは進行しているケースが多く存在します。症状がないからといって放置してしまうと、すべり症は「どんどん進行していく」ことが一般的です。
その結果、すべり症が深刻な状態にまで進行してしまうと、もはや自分の力では元に戻せず、外科手術をするしか方法がなくなってしまうわけです。
最も大切な対策は自分で判断せず、必ず画像検査を含むしっかりとした検査を受けることが重要です。今の自分の腰が「どういう状態か」を正確に認識し、専門家の意見を聞いて、自分に合った治療法やリハビリを受けることが、深刻な事態を避けるために極めて大切です。
結論:深刻な事態を避けるために
症状の軽重にかかわらず、自分で判断せず、必ず画像検査を含むしっかりとした検査を受けましょう。
そして現在の状態を正確に認識し、それに対してどのような治療法(リハビリ、治療法など)があるかを専門家の意見を聞き、自分に合った治療を受けることが極めて大切です。

当院のすべり症に対する治療法
当院ではすべり症に対応する治療法として「ディスクシール治療」と「DRT法」を提供しています。
腰椎の間にある椎間板はクッションの役割を担っています。その椎間板に亀裂が入り、損傷すると中の髄核(ゼラチン状の水分)が漏れ出し、炎症が発生します。その炎症を止めるためにフィブリン製剤を使った椎間板修復治療を行います。そうすることによって椎間板の傷を塞ぎ、椎間板機能の改善および疼痛の改善が期待できる治療方法です。詳しくは下記のページをご覧ください。
この記事の著者
大阪本院 副院長石田 貴樹
2009年:高知大学卒業・医師免許取得、2012年:神戸市立医療センター西市民病院勤務、2013年:兵庫県立尼崎病院勤務、2014年:関西労災病院勤務、2019年:ILC国際腰痛クリニック勤務、2021年:野中腰痛クリニック勤務、2022年:2年間の研修を経て10月にライセンスを獲得、2023年:医療法人蒼優会理事就任・野中腰痛クリニック副院長就任